αSMA
(alpha-smooth muscle actin)
抗体:Clone 1A4, mouse monoclonal (各社)
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
推奨陽性コントロール::消化管、子宮など。細血管のpericytesに陽性となるので、原則どこでも陽性コントロールとなる。
染色パターン: 細胞質
アクチンには6つのisoformがあり(αアクチン3種類(心筋、平滑筋、骨格筋)、βアクチン、γアクチン(筋肉以外、平滑筋))。HHF35はαアクチン3種類(心筋、平滑筋、骨格筋)と平滑筋γアクチンを認識する一方で、αSMAは平滑筋αアクチンのみを認識する。平滑筋の他、筋上皮細胞、血管pericytesにも陽性となる。骨格筋は陰性 (HHF-35は陽性)。
・筋原性腫瘍の診断:平滑筋腫など。単独での判断は避けるべきで、desmin、HHF35やh-caldesmonなどの併用が推奨される。特に下記のようにmyofibroblastic defferentiationでは陽性となるので、desminも併用すべきである。
・筋線維芽細胞への分化:炎症性筋線維芽細胞腫瘍 inflammatory myofibroblastic tumor (IMT)など。
・筋上皮の確認:乳腺、唾液腺などで筋上皮を描出するために用いられる。従来は乳腺にて浸潤性・非浸潤性の鑑別に頻用されたが、間質のmyofibroblastsの陽性との区別が難しい場合があり、p63がより頻度高く用いられる傾向にある。
・筋層の確認:消化管や膀胱などで粘膜筋板や固有筋層を染め、深達度判定の参考にすることがある。ただし、myofibroblastsの陽性がやはり問題となり、desminがより優れる。膀胱では粘膜筋板と筋層の区別も問題となるが、smoothelinが有用である。
※ sex-cord stromal tumor、juvenile granulosa cell tumor、melanomaなどへの陽性も知られている。
inflammatory myofibroblastic tumorでの陽性例
執筆日:2023.08.02 2024/10/07小改訂
執筆者:神戸大学医学部附属病院 病理診断科 伊藤智雄