胸腹水などに発生するリンパ腫の新分類(WHO第5版)
WHO第5版から serous fluidに発生するリンパ腫が少し改訂された。これまではHHV8陽性がPELの定義に入っていたが、それに当てはまらない症例も多く、別の項目が追加されている。
■Fluid-overload-associated large B-cell lymphoma (FO-LBCL)
定義:他に腫瘤を形成することなく、serous fluidに発生するB細胞性腫瘍であり、体液過剰状態(fluid overload state)にある患者に発生する。KSHV/HHV感染はみられない。
■Primary Effusion Lymphoma (PEL): KSHV/HHV8-associated B-cell lymphoid proliferations and lymphomas以下の1型となった
定義:リンパ節、あるいは節外性腫瘤病変を認めることなく、胸水、心嚢水、腹水に発生するlarge B-cell lymphoma。腔表面の腫瘤は除外項目とはならない。常に、KSHV/HHV9に関連し、通常はEBVにも同時に感染している。節外性に腫瘤を形成するExtracavitary PEL (EC-PEL)という関連概念も存在する。
執筆日:2024/10/18
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄