悪性腫瘍の細胞由来が不明な時の基本的な免疫染色
2006年3月7日
腫瘍の細胞由来がHEでまったく推定できないときのbasic panelとしては以下のものが挙げられる。
LCA→悪性リンパ腫lymphoma
Cytokeratin→上皮性腫瘍
S-100→悪性黒色腫、一種の肉腫
勿論、これのみで診断が確定できないことも多いが、悪性黒色腫やリンパ腫など以外と気付かない時もあり、まず最初のパネルとして以前より推奨されてきた組み合わせである。ちなみにvimentinは特異度が低く、有用ではない。
例外が多数ある。要注意
●LCA陰性の悪性リンパ腫:形質細胞系、anaplastic large cell lymphoma, Reed-Sternberg細胞など。plasmacytomaはEMAをしばしば発現するので注意。
●CKに関しては陽性となる肉腫が有るので要注意→synovical sarcoma, angiosarcoma, epithelioid sarcoma, malignant rhabdoid tumorなど。上皮様の形態を示すものも多く、常にこられの可能性を考えておかないと思わぬ落とし穴にはまる。
これらの組み合わせは鼻腔内での腫瘍には特に有用と思われる。malignant lymphoma、nasopharyngeal carcinoma、orfactory neuroblastoma, malignant melanomaなど類似した組織型のものが多いが、これらのパネルで鑑別ができる。ここも参照して下さい(http://immuno2.med.kobe-u.ac.jp/20060307-3678/)。
執筆日:2006/3/7
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄