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Dermatofibrosarcoma protuberans(DFSP)と鑑別を要する疾患

2006年3月14日

真皮から皮下脂肪組織にかけて、比較的単調な紡錘形細胞の増殖がある病変では、Dermatofibrosarcoma protuberans(DFSP)の可能性を検討する必要がある。以下にDFSPと検討を要する疾患をあげる。HE染色標本で確定診断できないときは積極的に免疫染色を利用する。DFSPは、多くがびまん性にCD34陽性を示すが、部分的にしか陽性所見を示さないものもあり、病変の中心部に陽性所見があることが重要である。また、線維肉腫様の部位や、多形肉腫様の部位がDFSPに伴うことがあり、この部位ではCD34は陰性のことがある。

Dermatofibroma(DF)

CD34陰性、Factor XIIIa陽性。ただしDFでも病変の周辺では多数のCD34陽性細胞がみられることがあり注意を要する。逆にDFSPも病変内にFactor XIIIa陽性細胞が散在することがある。

DF

Neurofibroma

とくに、多くがNeurofibromatosis type Iに関連して発生するdiffuse typeのNeurofibromaは、HE染色標本ではDFSPとの区別が困難なことがある。Neurofibromaの病変内には多数のCD34陽性細胞があり、CD34のみを染色すると誤診することがある。Neurofibromaの可能性もあれば、かならずS-100蛋白も染色する。

NF

そのほか粘液の多いタイプのDFSPではstoriform patternがめだたず、とくに部分生検では、nodular fasciitisやlow grade myxofibrosarcomaなど種々のmyxoid spindle cell neoplasmと鑑別が問題になることがある。CD34、α-SMA、S-100蛋白などを利用して鑑別する。

鑑別表

 

DFSP

Dermatofibroma

Neurofibroma

Nodular fasciitis

CD34

+

+

FXIIIa

+

 

 

S-100

+

α-SMA

+/-

+

 

執筆日:2006/3/14

執筆者:札幌皮膚病理研究所 福本隆也 木村鉄宣

 

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