胸腺腫のWHO分類(WHO 2004) WHO classification of thymomas
分類の基本(WHO blue book p.152) ●二つのmajor typeがある ・Type A: 腫瘍性上皮細胞およびその核が紡錐形ないし卵円型で、均一、異型に乏しい ・Type B: 細胞が主に円形ないし多角形を示すもの ●Type B thymomaはリンパ球浸潤の量と腫瘍性上皮細胞の異型により、さらに3種類に分類される:B1 (最もリンパ球が多い)、B2, B3(最も上皮細胞が多い) ●type Aと、B1様や(稀に)B2様の像と混在する場合はtype ABとする ●Thymic carcinomaはその分化によって命名される(squmous cell, mucoepidermoid, etc.)。1999年のWHOではWHO “type C thymoma” は見出し用語であったために、胸腺上皮由来に強制するきらいがあった。今回の分類では、germ cell tumors以外のnon-organotypic malignant epithelial neoplasmsもthymic carcinomaと呼ぶため、この用語は廃止された。 ●Combined thymomaはWHO histologyを明示し、それぞれのおおよそのパーセンテージを示す。 ●伝統的に、「悪性胸腺腫malignant rhymoma」という言葉は以下のようなものに用いられてきた:(i) 進行したステージの胸腺腫、すなわち腫瘍のhistologyに関係なく、局所浸潤、胸膜、あるいは心外膜へのimplantあるいは転移を示したもの、(ii) 腫瘍のステージに関係なく無く、強い異型を示す胸腺上皮性腫瘍(胸腺癌)。WHO histologyに関係なくlocally invasive thymomaの同義語として使われる「悪性胸腺腫」という言葉は、advanced stagesのtype AあるいはABのthymomaの良好な予後を正しく反映していないため、使わない方がよい。 なお、現在、本邦で取り扱い規約が編纂中である。 以下に胸腺腫のhistologyをまとめる。胸腺癌はWHOを参照して下さい。
執筆日:2007/7/11 執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄