Age-related （senile) EBV+ B-cell lymphoproliferative disorders
Age-related （senile) EBV+ B-cell lymphoproliferative disorders(Age-related （senile) EBV-B-LPD)は2003年、愛知県がんセンターの尾山らにより提唱された疾患概念である。加齢による潜在的な免疫力の低下によりEBVの再活性化を来たし、B細胞の腫瘍化にいたるものである。WHO分類にはimmunodeficiency-associated LPDという疾患概念があり、これに関連するが、Age-related (senile) EBV-B-LPDは基礎疾患などは持たない。
組織学的には下記に分類される。
・ Polymorphic type: 様々な分化段階にある多様な細胞が主体をなすもの
・ Large cell lymphoma sybtype: 異型の強いmonotonousな細胞が主体をなすもの
本例は、腫瘍細胞はほぼ同様の分化段階を示す細胞の増殖で、large cell lymphomaと分類される(pleomorphicな形態だからpolymorphicとは分類しないことに注意)。 large cell lymphoma typeはdiffuse large B-cell lymphomaの亜型と考えられる。化学療法不応例が多く、予後も不良である。（このことは臨床に伝達しておくべきであろう） なお、diffuse large B-cell lymphomaすべてにEBER-ISHを行うことは現実的ではない。EBER-ISHを行うべき時として次の条件が推奨されている。
・ リンパ節病変でホジキン病との鑑別を要するB-cell lymphoma。
・ リンパ節病変で大細胞を含むが、多彩な細胞構成を示し組織像が不分明なリンパ増殖性疾患。
・ 節外病変で、壊死あるいは周囲組織への浸潤が著しく、Hodgkin cellあるいはReed-Sternberg cell様の巨細胞を含むB-cell lymphoma。
・ その他臨床経過やEBV抗体価などからEBVの関与が疑われるリンパ増殖性疾患。
バーキットリンパ腫、膿胸関連リンパ腫、HIV、免疫不全、移植、自己免疫疾患、化学療法既往、悪性リンパ腫既往、lymphomatoid granumatosis、伝染性単核球症などは除外条件となる。
Hodgkinとの鑑別には前述の如く、L26の染色性が重要である。HodgkinのRS/Hodgkin細胞もL26陽性となりうるが、陽性のものから陰性のものまでheteroな染色性であることが多く、また、細胞膜の一部のみといった不完全な陽性像を示し、びまん性に強陽性を示すことはない。
 HE |
 L26 |
 CD30 |
 EBER-ISH |
本疾患概念は本邦発のものであり、今後の症例の集積によるさらなる確立が望まれる。全国規模のprospective studyが進行中であり、症例を経験された方は是非登録をお願い致します。
登録事務局
山本一仁先生
愛知県がんセンター中央病院 血液・細胞療法部
e-mail: kyamamoto@aichi-cc.jp
←登録のプロトコール。疾患の詳細な説明も記載されており、有用なものです。
Oyama T, Ichimura K,.et.al. Senile EBV+ B-cell lymphoproliferative disorders: a clinicopathologic study of 22 patients. Am J Surg Pathol. 2003 Jan;27(1):16-26.
執筆日：2007/7/17→7/23 タイトル修正、内容にやや加筆
執筆者：神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄
