免疫組織データベース~いむーの



TdT

2007年9月27日

(terminal deoxynucleotidyl transferase)

 

メーカー  SUPERTECHS

動物種 ウサギポリクローナル抗体

希釈倍率 1:10

前処置 CB(pH6.0) MW 15 min

推奨陽性コントロール 胸線あるいはリンパ芽球性リンパ腫例

染色パターン

(上記は岡山大学の条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

反応性:リンパ芽球性リンパ腫/白血病

 

用途その他:DNA合成酵素の一つであるTdT(terminal deoxynucleotidyl transferase)は未熟リンパ球胸腺リンパ球に発現している。これはヌクレオチドを付加して免疫グロブリン遺伝子、あるいはT細胞受容体遺伝子の多様性を増す働きをしている。TdTは急性リンパ性白血病では9割以上で陽性であり、リンパ腫としてはリンパ芽球性リンパ腫の診断根拠となる所見である。これはCMLの急性転化やNK細胞性の芽球性リンパ腫/白血病でも認められる。胸腺の病変であるかどうかの判定を求めれるときにも、背景リンパ球の性状をみるために用いることがある。

胸腺腫vs胸腺癌の鑑別胸腺腫では上皮とTdT陽性胸腺リンパ球の共同増殖であるので介在するリンパ球はTdT陽性。一方で、胸腺癌では上皮単独の増生となり、リンパ球は反応性であってTdT陰性。胸腺腫では上皮はCD5陰性、胸腺癌では70%程度陽性であることと合わせ(CD5参照)、良悪性の鑑別に有用である。

<Pitfall>皮膚のメルケル細胞癌Merkel cell carcinomaに陽性となることがある。Sur Mらの検討によれば8/15例で陽性であったという。Sur M, Alardati H, Ross C, Alowami S. TdT expression in Merkel cell carcinoma: potential diagnostic pitfall with blastic hematological malignancies and expanded immunohistochemical analysis. Mod Pathol. 2007 Sep 21 (2007/09/27伊藤追記)

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TLB:TdT陽性である

 

 

執筆日:2006/2/10→2007/9/27伊藤追記

執筆者:岡山大学病理病態学教室 吉野 正

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