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抗酸菌染色:Fite法

2008年1月27日

抗酸菌を染める染色としてチールネルゼン法が一般的である。

これは抗酸菌の表面がロウ様物質(ミコール酸など)で被われている為、水溶性のフクシンなどでは染まり難いが、石炭酸を媒染剤とした石炭酸フクシンにすると良く染まる。このようにして染まったものは、無機酸やアルコールに脱色され難い(抗酸性:acid fastness)という性質を利用したものである。

抗酸菌染色には、【チールネルゼン法】、【ファイト(Fite)法】、【Wade-Fite-松本法】、【原田法(Nyka変法)】、【慶大病理変法】、【オーラミン・ローダミン法】などがある。

【Fite法】は、オリーブ油やピーナッツ油などを用いて脱パラを行なう為、抗酸菌の菌体表面のロウ様物質が保護される。 このためチールネルゼン法と比較して、抗酸性の弱いライ菌、ノカルディアなどの検出に優れた方法であり、簡便であるので、これを紹介する。

imageGram染色 image1Fite法
一般菌染色であるGram染色では抗酸菌の存在ははっきりとは分からない。しかし抗酸菌染色を行なうことで抗酸菌が石炭酸フクシンにより赤く染まり,背景をメチレンブルーで対染色を行なうことによって、コントラスト良く抗酸菌の存在が一目瞭然となる。

 

image2Ziehl-Neelsen法 

image3Fite法 こちらのほうが数多く染まっている

チールネルゼン法とFite法の比較当施設ではFite法はオリーブオイル・キシレンを用いて脱パラする。これをキシレンで脱パラした通常のチールネゼン法と【対物x100】の視野で、10視野の抗酸菌の数を比較した。全体でおおよそ2~3割ほどFite法が多く抗酸菌を検出でき、Fite法の感度の良さが多少ではあるが証明された。

 

染色方法
1)オイル・キシレン 15分・2層
2)濾紙で余分な油分を吸い取る
3)石炭酸フクシン 室温30分
4)水洗
5)1%塩酸アルコールで分別
6)水洗
7)レフレルのメチレンブルー(軽く青)
8)水洗
9)脱水・透徹・封入

*オイル・キシレン

オリーブオイル 50ml

キシレン    50ml

*石炭酸フクシン

①塩基性フクシン 9g,100%エタノール 100ml

②石炭酸 5ml,蒸留水 100ml

①と②を1:9の割合に混合。これを濾過して使用液とする。

*レフレルのメチレンブルー

①メチレンブルー原液

メチレンブルー 1.4g

蒸留水      100ml

②使用液

メチレンブルー原液(①)30ml

1%KOH水溶液      1ml

蒸留水         100ml

 

 

執筆日:2008.01.27

執筆者:神戸大学病院病理部  山田寛、伊藤 智雄

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