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アミロイドの染色:DFS(ダイレクトファーストスカーレット)染色

2009年2月25日

アミロイドとは悪性疾患や慢性感染症などに見られ、生体内に沈着する蛋白と結合したβシート構造を持つ多糖類の一種である。 これらは肝・腎・脾などの血管に多く見られ、無構造・硝子様で光屈折性に富んだ物質として沈着する。アミロイドは、ヨウ素反応を示し、硫酸で青変することから『類澱粉質』とも呼ばれる。

アミロイドの検出には、電顕的にアミロイド線維を証明するか、ヨウ素反応、コンゴー赤Congo-red染色、メチル紫染色、チオフラビンT染色、DFS染色などを行ない総合的に判断する。また染色した標本を偏光顕微鏡で観察し、緑色~白色の偏光を確認してアミロイドを確定する事が求められる。

DFSはダイロン系の染料であり、原理的にはハッキリしていないがアミロイドに吸着される性質を利用している。しかしこれは特異的な反応ではないので、気をつけないといけない。

アミロイドの染色としてはCongo-red染色があまりにも有名であるが、DFSのほうが望ましい結果が得られ、これをルーチンにしている施設も多い。 コンゴー赤染色と比較して、以下の有利な点がある ①共染が少ない ②分別が簡単でムラになりにくい ③特に皮膚アミロイドではCongo-red染色では強い陽性像が得られにくいため、DFS染色を行うことが推奨される。

染色方法
1)脱パラ・水洗
2)DFS液 
3)水洗
4)ヘマトキシリン液
5)水洗・色だし
6)脱水・透徹・封入

DFS原液

DFS 4BS : 0.2g

50%イソプロピルアルコール:100ml

無水炭酸ナトリウム :1.0g

*原液50ml+純アルコール50mlを良く混和して使用液とする。

 

アミロイドはHEでは矢印のようにエオジンにべったりと染まる無構造物として見られる。DFS染色ではアミロイドの部分が橙色に染まり弱拡大でも一目瞭然でHEより格段に見易くなっている。

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偏光顕微鏡で観察することにより、アミロイド沈着部分は緑色偏光を発する

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コンゴー赤染色と比較して、以下の有利な点がある

①共染が少ない

②分別が簡単でムラになりにくい

③皮膚などの場合においてコンゴー赤に比べて発色強度が強い

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執筆日:2009.02.25

執筆者:神戸大学病院病理部  山田 寛

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