免疫組織データベース~いむーの



エラスチカ・マッソン染色

2009年4月8日

エラスチカ・マッソン染色は弾性線維、膠原線維などの結合組織を明瞭に染め分ける染色法である。

■用途 ・ 癌の血管内侵襲の評価 ・ 腎・肝などにおける組織の線維化の評価 ・ 弾性線維の断裂などの血管性病変の評価

■ プロトコール

① 脱パラフィン、水洗

② レゾルシン・フクシン液 40分

③ 1%塩酸アルコールで分別

④ 水洗

⑤ ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン液 5分

⑥ 水洗・色出し 10分

⑦ スカーレット・フクシン液 15分

⑧ 1%酢酸水

⑨ リンタングステン酸・リンモリブデン酸混合液 2分30秒

⑩ 1%酢酸水

⑪ ライトグリーン液 3分

⑫ 1%酢酸水

⑬ 脱水、透徹、封入

■染色結果

弾性線維・・・黒褐色

膠原線維・・・緑色

筋線維・・・赤色

核・・・赤褐色

細胞質・・・赤色

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■染色上の注意点

・ 本染色は切片の厚さや組織の性状により染色性が影響を受けやすい。結合組織の密な組織は切片がやや薄い方が、結合組織の疎な組織は切片がやや厚い方が良好な染色結果が得られる。総合的には3~4μmが適当と考える。

・ 切片の厚さが厚すぎると赤色が濃くなり、弾性線維の観察が困難となる。

・ リンタングステン酸・リンモリブデン酸混合液の時間が長いとスカーレット・フクシン液の赤色が落ちる。

・ ライトグリーン液の時間が長いと全体に緑がかった色調となる。

・ 当施設では工程の簡略化のため省略しているが核染色の後に1%オレンジG液5分を行うことで赤血球を橙赤色に染め分けることも可能である。

<染色不良例>

●リンタングステン酸・リンモリブデン酸混合液の時間が長すぎた為赤色が落ちてしまった標本

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●切片の厚さが厚すぎたために弾性線維の観察が困難な標本

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●ライト緑の時間が長すぎたため 全体に緑がかった色調になってしまった標本

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執筆日:2009.04.08

執筆者:神戸大学病院病理部 森藤 哲史

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