免疫組織データベース~いむーの



IgG4

2011年5月23日

クローン: HP6025(Binding Site)

抗原賦活化法:酵素処理(自動免疫染色装置では60分間の熱処理)

推奨希釈濃度:1:400

推奨陽性コントロール:形質細胞浸潤の多い組織(肉芽組織、エプーリス、鼻茸など)

染色パターン:細胞質

(上記は岡山大学での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

自己免疫性膵炎の病変部に多数のIgG4陽性細胞が浸潤し、血中IgG4が上昇していることが報告されて以来、これまで原因不明とされてきた全身諸臓器における腫瘤形成性の形質細胞を主体とする炎症性病変の多くがIgG4関連疾患であることが判明してきた。 IgG4関連疾患の診断には臨床検査データのみならず、病理診断も重要となる。しかしながらIgG4関連疾患は各臓器によってその組織像は多彩であるため診断は容易でない。

免疫染色でIgG4/IgG-陽性形質細胞比>40% であればIgG4関連疾患である可能性は高いが、この診断基準を満たす「非IgG4関連疾患」が存在することも事実である。その代表例が多中心性キャッスルマン病である。これ以外にも慢性関節リウマチや鼻茸、炎症性肉芽組織など様々な病変でIgG4陽性形質細胞が増加することがある。

そのためIgG4関連疾患の診断は、病理所見のみならず臨床所見、臨床検査データなどをあわせて総合的かつ慎重に判断することが重要である。

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IgG4関連涙腺炎にみられたIgG4陽性形質細胞

 

参考文献

1. 佐藤康晴,吉野 正: IgG4関連疾患の病理診断-リンパ節病変を中心に (IgG4関連疾患-日本発あらたな疾患概念), 医学のあゆみ p214-218. Vol.236 No.3 2011

2. Sato Y, et al. Multicentric Castleman’s disease with abundant IgG4-positive cells: a clinical and pathologic analysis of 6 cases. J Clin Pathol. 2010; 63: 1084-1089.

3. Sato Y, et al. IgG4-related disease: Historical overview and pathology of hematological disorders. Pathol Int. 2010; 60: 247-258.

4. Sato Y, et al. Systemic IgG4-related lymphadenopathy: a clinical and pathologic comparison to multicentric Castleman’s disease. Mod Pathol. 2009; 22: 589-599.

 

 

執筆日:2007/1/23 → 2011.5.23

執筆者:高橋 秀史 札幌社会保険総合病院 → 佐藤康晴 岡山大学大学院病理学(腫瘍病理/第二病理)

※IgG4創世期に高橋先生に御執筆いただき、2011年にupdateにより佐藤先生に執筆いただきました。

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