免疫組織データベース~いむーの



Desmoglein-3

2012年11月13日

Mouse monoclonal antibody

クローン:5G11

メーカー:Kamiya Biomedical (Cat. No. MC-214)

希釈倍率:1:2

抗原賦活化:CC1 (Ventana)

推奨陽性コントロール:扁平上皮

染色パターン:細胞膜

(上記は神戸大病理部での条件(Ventana Benchmark XT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

扁平上皮の棘細胞間に存在するデスモゾームの一構成成分(140kD)で、カドヘリン型細胞間接着因子である。幅24nmの細胞外で、Caイオン存在下に互いのN末端が結合している。尋常性天疱蒼の標的抗原として知られる。Desmoglein-1やDesmoglein-2との交差反応はないとされる。下の写真は表皮。

Desmoglein3皮膚

 

用途:

近年、非小細胞肺癌においては治療選択の観点から、扁平上皮癌か非扁平上皮癌かの判定が重要視されている。特に小検体において、形態的に分化傾向の明らかでない非小細胞癌に対し、どのような免疫染色パネルを用いて扁平上皮癌あるいはその可能性を抽出するか、精力的に研究されている。Desmoglein-3は優れた扁平上皮癌マーカーとして注目されている。

表1 肺腫瘍に対するDesmoglein-3の染色結果

肺扁平上皮癌 肺非扁平上皮腫瘍
Desmoglein3陽性 64 1 65
Desmoglein3陰性 1 91 92
65 92 157

感度98%(95% 信頼区間: 95.6-100%)、特異度99%(95%信頼区間: 97.0-100%)

出典:Savci-Heijink CD, et al. The role of Desmoglein-3 in the diagnosis of squamous cell carcinoma of the lung. Am J Pathol 2009;174:1629-37.

 

表2 全肺癌に対するDesmoglein-3の染色結果

組織型

症例数

Desmoglein-3

陽性数

%

扁平上皮癌

42

39

92.8

高分化型

14

14

100

中分化型

14

14

100

低分化型

14

11

78.5

腺癌

57

0

0

肺胞置換性

6

0

0

腺房型

18

0

0

乳頭型

7

0

0

微小乳頭型

2

0

0

充実型

14

0

0

コロイド(膠様)

4

0

0

粘液産生性

6

0

0

大細胞癌

16

0

0

大細胞癌NOS

8

0

0

大細胞神経内分泌癌

8

0

0

その他

9

0

0

小細胞癌

1

0

0

カルチノイド

8

0

0

124

39

扁平上皮癌に対する感度92.8%、特異度100%

出典:Agackiran Y, et al. Desmoglein-3 and Napsin A double stain, a useful immunohistochemical marker for differentiation of lung squamous cell carcinoma and adenocarcinoma from other subtypes. Appl Immunohistochem Mol Morphol 2012;20:350-5.

 

image1image2

(自験例。左:肺扁平上皮癌、右:肺腺癌。)

 

低分化な肺扁平上皮癌と高異型度尿路上皮癌の肺転移を鑑別する免疫染色パネルの一つとして有用であることが示されている。

出典:Gruver AM, et al. Selective immunohistochemical markers to distinguish between metastatic high-grade urothelial carcinoma and primary poorly differentiated invasive squamous cell carcinoma of the lung. Arch Pathol Lab Med 2012;136:1339-46.

 

 

執筆日:2012/11/13

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕

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