NSE
Mouse monoclonal antibody
クローン:BBS/NC/V1-H14
メーカー:Dako (N1557)
希釈倍率:Ready-to-use
抗原賦活化:CC1 60分
推奨陽性コントロール:膵島、神経叢・神経線維、神経内分泌細胞
染色パターン:細胞質
(上記は神戸大病理部での条件(Ventana BenchMarkXT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
エノラーゼはα、β、γの3種類のサブユニットからなる二量体の解糖系酵素であり、αα、αβ、αγ、ββ、γγの5つのアイソザイムが存在する。このうちαγおよびγγ型のエノラーゼは主に神経細胞や軸索突起に存在するため、神経特異エノラーゼ(Neuron Specific Enolase, NSE)と呼ばれている。NSEは各臓器に分布する神経内分泌細胞に存在しており、血中の赤血球、血小板、リンパ球にも含まれる。腫瘍では小細胞癌、神経芽細胞腫、神経内分泌系腫瘍、傍神経節腫、膠芽腫、星細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、悪性黒色腫などに陽性となる。
(左:膵島、右:結腸のアウエルバッハ神経叢)
用途:
病理診断上、神経、神経内分泌マーカーとして利用されるが、非特異反応が多く、判定し難いことが少なくない。近年、神経内分泌分化の確認は、クロモグラニンAやシナプトフィジン、NCAM(CD56)が利用されることが多い。
(自験例(肺小細胞癌)。左:H&E染色、右:NSE染色)
(注)血清NSE値が高値で、その原因となりうる病変が臨床的にそこしかなければ、病変においてNSE染色陽性となるかもしれないが、逆に、病変でNSE染色陽性であっても、それがすなわち血清NSE値高値ではない。NSE染色はあくまで定性検査である。
執筆日:2012/12/20
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子