免疫組織データベース~いむーの



MUM1

2012年12月25日

(Multiple myeloma oncogene 1)

 

Mouse monoclonal antibody

クローン:MUM1p

ーカー:Dako (M7259)

希釈倍率:1:500

抗原賦活化:ER2, 20分

推奨陽性コントロール:リンパ節

染色パターン:細胞質、核

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

MUM1遺伝子(19p13.3、51.6 kDa)は多発性骨髄腫にみられる t(6;4)(p25;q32) の染色体転座に関係する遺伝子として同定され、その遺伝子産物である MUM1蛋白はIRF4 (Interferon Regulatory Factor 4)、ICSAT (Interferon Consensus Sequence binding protein for Activated T cells)、PiP (PU.1 Interaction Partner) 等とも呼ばれている。MUM1 蛋白は主に胚中心細胞から形質芽細胞の段階において発現しており、 bcl-6 陽性細胞(胚中心 B 細胞)から CD138 発現細胞(免疫芽細胞、形質細胞)への分化段階を同定するマーカーとなる。一部のT細胞やHodgkin 病の Reed-Sternberg 細胞にも発現が認められている。

リンパ節

(正常リンパ節)

 

用途: びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)のHansらの分類

ティッシュアレイによる解析でDLBCLをgerminal center B-cell-like (GCB)かnon-GCBかに大きく分けると、後者は予後不良群であることが報告され注目を浴びた。

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫diffuse large B-cell lymphomaの細分類(伊藤智雄):http://immuno.med.kobe-u.ac.jp/DLBL_subclassification/DLBL_subclassification.shtml

出典:Hans CP, et al. Confirmation of the molecular classification of diffuse large B-cell lymphoma by immunohistochemistry using a tissue microarray. Blood 2004;103:275-82.

 

MUM1染色は、現在のところ、これ以外の病理診断に用いられることはあまりないと思われる。

 

121221_005121221_004

(自験例(びまん性大細胞B細胞リンパ腫)。左:H&E染色、右:MUM1染色)

 

 

執筆日:2012/12/25

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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