免疫組織データベース~いむーの



MyoD1

2013年1月8日

(Myogenic Differentiation 1)

 

Mouse monoclonal antibody

クローン:5.8A

メーカー:Dako (#M3512)

希釈倍率:1:100

抗原賦活化:ER2、20分

推奨陽性コントロール:横紋筋肉腫、胎児の骨格筋

染色パターン:

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

MyoD1 遺伝子(11p15.4)は myogenin、myf-1、MRF4(Herculin、myf-6)、myf-5といった転写因子をコードする筋原性遺伝子ファミリー(MyoD family)に属する。MyoD1 蛋白は 45kDa のリン酸化蛋白で、骨格筋への分化の早期に発現する筋原性転写因子である。Myogenic factor 3(Myf-3、MYF3)、Myoblast determination protein 1とも呼ばれる。胎生期の骨格筋、心筋細胞の核に見られる他は、生下時以降、成人の骨格筋には先ず発現していない。Myogeninと共に、未熟な横紋筋芽細胞のマーカーと言える。筋組織の損傷修復にも不可欠なものといわれる。

 

用途:MyoD1染色はMyoglobin染色やMyogenin染色と共に、横紋筋分化マーカーとして利用される。横紋筋肉腫および横紋筋への分化を示す腫瘍の病理診断に有用である。横紋筋肉腫における MyoD1 の発現は腫瘍細胞の分化度と反比例する。

(自験例(胎児型横紋筋肉腫)。上:H&E染色、下:MyoD1染色)

 

(注)注意すべきは、MyoD1染色陽性の判定の仕方である。少なからず腫瘍細胞の細胞質に陽性となってしまうが、あくまで核陽性でもってMyoD1染色陽性と判定すべきとされる。以下の様な例ではMyoD1染色は陰性と判定しなければならない。

(自験例(多形型横紋筋肉腫)。上:H&E染色、中:MyoD1染色、下:Myoglobin染色)

 

執筆日:2013/01/08

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

 

 

運営:いむーのワーキンググループ 代表 伊藤 智雄 (神戸大学病院病理部)

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