免疫組織データベース~いむーの



EGFR (L858R mutant specific)

2013年1月21日

Rabbit monoclonal antibody

クローン:43B2

メーカー:Cell Signaling (#3197)

希釈倍率:1:100

抗原賦活化:ER2、20分

推奨陽性コントロール:EGFR gene exon21 L858R point mutationのある肺腺癌

染色パターン:細胞膜

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

用途: EGFR gene exon21 L858R point mutationのある肺腺癌の検出。

 

多くの場合、臨床側が気管支鏡検査等を実施した時に、同時にEGFR遺伝子変異の有無を調べる検査(PNA LNA PCR-Clamp 法、PCR-Invader 法、Scorpion ARMS 法など)を外注していると思われるが、結果が「検出せず」の場合、真にWild typeとは限らず、検体不適(癌細胞が含まれていない、など)もありうる。もし、パラフィンブロックやセルブロックでは十分な癌細胞が含まれているのであれば、EGFR (E746-750del specific) と共に免疫染色を実施すれば、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(ゲフィチニブ、エルロチニブ)の奏功が期待される、これらのEGFR遺伝子変異を検出できるかもしれない。何らかの理由でEGFR遺伝子変異の有無を調べる検査をなされていない、過去の生検・手術材料のパラフィンブロックが他院から入手できた、全身状態などから気管支鏡検査の再検が困難である、といった場合にもこの染色は有用かもしれない。

 

PCR-RFLPアッセイ PCR-RFLPとSequenomアッセイ
変異陽性 変異陰性 変異陽性 変異陰性
免疫染色陽性 17 5 22 20 2 22
免疫染色陰性 1 171 172 1 171 172
18 186 194 21 173 194

感度95.2% (20/21)、特異度98.8% (171/173)

出典:Brevet M, et al. Assessment of EGFR mutation status in lung adenocarcinoma by immunohistochemistry using antibodies specific to the two major forms of

mutant EGFR. J Mol Diagn 2010, 12:169–176.

 

免疫染色 DNAシークエンス
L858R 野生型 Failed
L858R(+) 24 2 2
L858R(-) 2 193 25

出典:Yu J, et al. Mutation-specific antibodies for the detection of EGFR mutations in non -small-cell lung cancer. Clin Cancer Res 2009;15:3023-3028.

 

130121_001130121_002

(自験例(肺腺癌におけるEGFR L858R変異特異的染色)。左:L858R変異陽性例、右:野生型。)

 

 

執筆日:2013/01/21

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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