免疫組織データベース~いむーの



CD26

2013年6月20日

(DPP-4, Dipeptidyl peptidase-4)

 

Mouse monoclonal antibody

クローン:11D7

メーカー:Novus

希釈倍率:1:2000

抗原賦活化:ER2、10分

推奨陽性コントロール:腎尿細管、前立腺など

染色パターン:細胞膜、細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

CD26は分子量110kDaの 766 個のアミノ酸からなる単鎖膜糖蛋白質である。細胞外ドメインにDipeptidyl peptidase- IV (DPPIV) 酵素活性を有し、ペプチドのN末端から2番目のプロリンのC末側ペプチド結合を切る。細胞外基質であるアデノシンデアミナーゼやフィブロネクチン、コラーゲンにも結合する。血液細胞・腎臓・肺・肝臓の上皮細胞及びメラノサイト、活性化Tリンパ球、Bリンパ球、マクロファージなど、全身の様々な細胞に分布している。その生物学的機能は多彩で、1) 受容体機能、2) 共刺激蛋白作用、3) 接着分子機能、4) アポトーシス誘発機能などが知られている。可溶型として血中にも存在する。

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(肺におけるCD26染色。肺胞上皮や肺胞マクロファージ、平滑筋に陽性であるが、気管支線毛円柱上皮やクララ細胞には陰性である。)

 

用途:

CD26染色は現在のところ、病理診断上の鑑別診断において有用性は明らかではない。

CD26は菌状息肉腫やT-リンパ芽球性白血病などの悪性リンパ腫・白血病の一部に発現していることが知られているが、近年、悪性中皮腫、特に上皮型の大部分に発現していることが明らかとなった。現在、抗CD26ヒト化抗体が研究・開発されているが、Rituximabの投与基準としてCD20染色が必須となっているのと同様に、悪性中皮腫など対する投与基準としてCD26染色を要求されるようになるかもしれない。

 

(自験例(上皮型胸膜悪性中皮腫。上:H&E染色、下:CD26染色。)

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(自験例(淡明細胞型腎細胞癌。上:H&E染色、下:CD26染色。)

clear RCC1 clear RCC2

 

(自験例(前立腺腺癌 CD26染色)

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参考文献:

1. Inamoto T, et al. CD26 plays a role in malignant mesothelioma tumor growth and is a target for the treatment of malignant mesothelioma. Clin Cancer Res 2007;13:4191-200.

2. Amatya VJ, et al. Overexpression of CD26/DPP IV in mesothelioma tissue and mesothelioma cell lines. Oncol Rep 2011;26:1369-75.

 

執筆日:2013/06/20

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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