免疫組織データベース~いむーの



Glycophorin C

2013年7月25日

Mouse monoclonal antibody

クローン:Ret40f

メーカー:Dako (M0820)

希釈倍率:1:200

抗原賦活化:CC1、60分

推奨陽性コントロール:赤血球

染色パターン:細胞膜

(上記は神戸大病理部での条件(Ventana BenchMarkXT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

Glycophorinは別名CD236,Glycoprotein β,Glyconnectin,PAS-2’とも呼ばれる,128のアミノ酸で構成されたペプチド鎖で,赤血球,赤芽球の細胞膜上に存在するシアロ糖蛋白である.遺伝子座は2q14-q21である.赤血球の形態保持や細胞膜物質の制御に重要な役割を果たしている.熱帯熱マラリア原虫の赤血球結合抗原140蛋白の受容体としても知られ,また,インフルエンザA及びBも結合する.輸血医学に関連して,Glycophorin CはGerbich抗原をエンコードしている.Leach抗原,Yussef抗原,Webb抗原,Duch抗原,Lewis抗原は,Glycophorin Cの遺伝子変異による.

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(自験例(正常骨髄)。左:H&E染色、右:Glycophorin C染色。赤血球及び赤芽球の細胞膜に陽性である。)

 

用途:

赤芽球系の検出.

古くより赤芽球の検出には,ギムザ染色やASD-ギムザ染色が用いられてきたが,施設,染色者により染色性が不安定な時に役立つ.

赤芽球系の検出方法としては,他にAnhydrase dehydrogenase (ALDH)染色やCarbonic anhydrase isoenzyme (CAI)染色,CD2-associated protein染色などもある.

対象疾患としては,主に骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病M6(赤白血病)で,lineage不明な芽球の特定に用いる.骨髄異形成症候群の鑑別において,赤芽球の分化成熟段階が判断しやすくなる.1. 有核細胞における赤芽球の割合(50%以上),2. 非赤芽球系の有核成分における骨髄芽球割合(20%以上)でもって,M6を診断する.

欠点は,未熟赤芽球の染色性は弱く,質的評価に注意が必要である.未熟赤芽球に対しては,Anhydrase dehydrogenase (ALDH)染色が優れている(B.D. Bioscience, clone44).

 

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(自験例(パルボウイルス感染症)。上:H&E染色、下:Glycophorin C染色。大型異型細胞が赤芽球系であることが確認される。)

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(自験例(急性リンパ球性白血病Ph+)。中型異型細胞集塊が赤芽球系ではないことが確認される。)

 

謝辞:兵庫県立がんセンター病理診断科梶本和義先生の御指導を賜った。

 

 

執筆日:2013/07/25

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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