免疫組織データベース~いむーの



Brachyury

2013年3月28日

Mouse monoclonal antibody

クローン:1H9A2

メーカー:Abcam (#ab140661)

希釈倍率:1:600

抗原賦活化:ER2、10分

推奨陽性コントロール:脊索腫

染色パターン:

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

BrachyuryはT遺伝子によってコード化された蛋白で、中胚葉の形成に関与する20以上の遺伝子が存在するT-box遺伝子複合体の転写因子である(第6染色体)。発生学的に主に脊索の発達を調整している。正常成人組織では発現していない。脊索腫細胞においてBrachyuryが活性化していることが見出されたが、Brachyuryの異常発現は余分な遺伝子コピーの存在と関係しているらしい。

 

用途:

脊索腫の新たなマーカーとして注目されている。

現時点ではBrachyury染色に関する研究報告が少ないため、十分に検討されているとは言い難いが、脊索腫に対してBrachyury染色の感度、特異度は、共に極めて高く見え、脊索腫か、脊索腫様・軟骨様の組織像をとりうる腫瘍かの鑑別に役立つと思われる。

①53例中全ての脊索腫にBrachyury染色は陽性であるが、以下の表の症例は全て陰性である。

腫瘍 組織型 分析症例数
軟骨様腫瘍 軟骨芽細胞腫 14
軟骨粘液線維腫 18
軟骨肉腫(四肢) 55
軟骨肉腫(頭蓋底) 9
淡明細胞軟骨肉腫 11
脱分化型軟骨肉腫 5
骨外性粘液型軟骨肉腫 5
間葉性軟骨肉腫(骨) 9
粘液型軟骨肉腫 8
内軟骨腫 12
骨膜軟骨腫 5
滑膜軟骨腫症 12
小計 163
その他 下垂体腺腫 6
肥胖性星細胞腫 2
神経内分泌癌 4
腎癌 6
扁平上皮癌 2
上衣腫 4
粘液乳頭状上衣腫 4
巨細胞腫 2
膠芽腫 5
平滑筋肉腫 6
軟骨様脂肪腫 2
粘液型脂肪肉腫(grade2) 6
悪性黒色腫 2
リン酸塩尿症を伴う間葉系腫瘍 2
筋上皮性腫瘍、悪性(唾液腺外) 4
筋上皮性腫瘍、良性(唾液腺外) 7
唾液腺多形腺腫 25
粘液線維肉腫 5
筋肉内粘液腫 5
粘液腫(Mazabraud症候群) 5
傍突起細胞腫 2
骨線維性異形成 10
骨芽細胞型骨肉腫 3
軟骨芽細胞型骨肉腫 10
傍神経節腫 1
明細胞肉腫 8
類上皮肉腫 3
低悪性度線維粘液性肉腫 10
Ewing肉腫/未熟神経外胚葉性腫瘍 6
紡錘形細胞型肉腫 3
小計 160
合計 323

出典:Vujovic S, et al. Brachyury, a crucial regulator of notochordal development, is a novel biomarker for chordomas. J Pathol 2006;209:157-65.

n D2-40 S100 Pancytokeratin EMA Brachyury GFAP
脊索腫様膠腫 4 3/4 (75%) 4/4 (100%) 4/4 (100%) 4/4 (100%) 0/4 (0%) 4/4 (100%)
骨性粘液型軟骨肉腫 6 6/6 (100%) 6/6 (100%) 0/6 (0%) 0/6 (0%) 0/6 (0%) 0/6 (0%)
脊索腫様髄膜腫 10 8/10 (80%) 4/10 (40%) 2/10 (20%) 9/10 (90%) 0/10 (0%) 0/10 (0%)
骨外性粘液型軟骨肉腫 16 0/16 (0%) 13/16 (81%) 6/16 (38%) 4/16 (25%) 0/16 (0%) 0/16 (0%)
脊索腫 18 0/18 (0%) 17/18 (94%) 18/18 (100%) 17/18 (94%) 18/18 (100%) 0/18 (0%)
低悪性度軟骨肉腫 22 21/22 (95%) 22/22 (100%) 0/22 (0%) 0/22 (0%) 0/22 (0%) 0/22 (0%)
内軟骨腫 27 26/27 (96%) 27/27 (100%) 0/27 (0%) 0/27 (0%) 0/27 (0%) 0/27 (0%)

出典:Sangoi AR, et al. Distinguishing chordoid meningiomas from their histologic mimics. An immunohistochemical evaluation. Am J Surg Pathol 2009;33:669-81.

 

脊索腫1脊索腫2

(脊索腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。腫瘍細胞の核に陽性となる。)

粘液乳頭状上衣腫1粘液乳頭状上衣腫2

(粘液乳頭状上衣腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。陰性。)

脊索腫様髄膜腫1脊索腫様髄膜腫2

(脊索腫様髄膜腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。陰性。)

骨外性粘液型軟骨肉腫1骨外性粘液型軟骨肉腫2

(骨外性粘液型軟骨肉腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。陰性。)

内軟骨腫1内軟骨腫2

(内軟骨腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。陰性。)

骨外性軟骨腫1骨外性軟骨腫2

(骨外性軟骨腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。陰性。)

軟骨肉腫1軟骨肉腫2

(低悪性度軟骨肉腫。左:H&E染色、右:Brachyury染色。陰性。)

 

 

執筆日:2013/03/28

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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