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Chapel Hill Consensus Conference 2012で採択された血管炎の名称と定義

2014年1月6日

文献:

1. Jennette JC, et al. 2012 revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides. Arthritis Rheum 2013;65:1-11.

2. 岡崎貴裕. 血管(血管炎). 日内会誌2013;102:2682-90.

血管炎の種類 定義
大型血管炎 他の血管炎よりもより高頻度に大型動脈(大動脈とその主要分枝)が侵襲を受ける血管炎。全てのサイズの動脈が影響を受ける可能性がある。
  ・高安動脈炎
  ・巨細胞性動脈炎
中型血管炎 主要な内臓動脈とその分枝で定義される中型動脈が主に侵襲を受ける血管炎。全てのサイズの動脈が影響を受ける可能性がある。炎症性動脈瘤や狭窄が起こりやすい。
  ・結節性多発動脈炎
  ・川崎病
小型血管炎 実質内の小動脈、細動脈、毛細血管及び細静脈などの小血管が主に侵襲を受ける血管炎。中動脈や静脈が影響を受ける可能性がある。
  抗好中球細胞質抗体関連血管炎 免疫沈着が全くないかほとんど見られない壊死性血管炎。ミエロペルオキシダーゼ(MPO)特異的ANCA又はプロテイナーゼ3(PR3)特異的ANCAに関連し、主に小血管が侵襲を受ける。全ての患者がANCA陽性となる訳ではない。MPO-ANCA、PR3-ANCA、ANCA陰性など、ANCA反応性を示す接頭語が記される。
    ・顕微鏡的多発血管炎
    ・多発血管炎性肉芽腫症
       (旧名 Wegener肉芽腫症)
    ・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
       (旧名 Churg-Strauss症候群)
  免疫複合体性血管炎 主に小血管(小動脈、細動脈、毛細血管及び細静脈)の血管壁に免疫グロブリンや補体成分が中等度から高度に沈着する血管炎。糸球体腎炎が高頻度に見られる。
    ・抗糸球体基底膜病
       (旧名 Goodpasture症候群)
    ・クリオグロブリン血症性血管炎
    ・IgA血管炎 IgA vasculitis
       (旧名 Henoch-Schönlein紫斑病)
    ・低補体血症性蕁麻疹様血管炎
       (抗C1q血管炎)
大小不定の血管炎 侵襲血管に優位性がない血管炎。様々なサイズ(大、中、小)、様々なタイプ(動脈、静脈、毛細血管)の血管に病変が生じる。
  ・Behçet病
  ・Cogan症候群
単一臓器の血管炎 単一の臓器に生じるあらゆるサイズの動静脈の炎症で、全身性血管炎が限局的に現れたことを示す特徴がない。病変のある臓器及び血管のタイプが名称に含まれる(例えば、皮膚小血管炎、精巣血管炎、中枢神経系血管炎など)。血管炎の分布は、臓器の中で単発性か多発性(びまん性)である。単一臓器の血管炎と診断された患者の中には、別の徴候が現れ、全身血管炎として再分類される場合がある(例えば、皮膚動脈炎が後に結節性多発動脈炎になるなど)。
  ・皮膚白血球破砕性動脈炎
  ・皮膚動脈炎
  ・原発性中枢神経系血管炎
  ・孤発性大動脈炎
  ・その他
全身疾患に関連した血管炎 全身性疾患に合併したり、続発して発症する血管炎。診断名称には、全身性疾患を特定する接頭語を付ける。
  ・ループス血管炎
  ・リウマチ性血管炎
  ・サルコイド血管炎
  ・再発性多発軟骨炎性血管炎
  ・その他
確からしい病因に関連した血管炎 確からしい病因に関連している血管炎。診断名称には、関連性をある病因を接頭語に付ける。
  ・C型肝炎ウイルス関連クリオグロブリン血症性血管炎
  ・B型肝炎ウイルス関連血管炎
  ・梅毒性大動脈炎
  ・薬剤関連免疫複合体性血管炎
  ・薬剤関連抗好中球細胞質抗体関連血管炎
  ・腫瘍関連血管炎
  ・その他

2012 Revised International Chapel Hill Consensus Conference Nome2012 Revised International Chapel Hill Consensus Conference Nome

 

 

執筆日:2014/1/6

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕

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