SOX10(兵庫県立尼崎病院 南智也)
Rabitt polyclonal antibody
メーカー:CELL MARIQUE
希釈倍率:25倍希釈 抗
原賦活化:熱処理(pH 8.0 EDTA)
推奨陽性コントロール:シュワン細胞、メラニン細胞、悪性黒色腫
染色パターン:核
SOX10は、細胞の成長や分化を調節するSOX (SRY-related HMG-box) ファミリーに属し、シュワン細胞やメラニン細胞など神経細胞の成熟・分化に非常に重要な役割を果たす転写因子である。正常組織では、シュワン細胞、メラニン細胞、唾液腺・気管支腺・乳腺の筋上皮細胞にびまん性に発現している。
用途:
従来から、悪性黒色腫や末梢神経腫瘍の診断に有用なマーカーとされているs-100は、感度は良好であるが、滑膜肉腫や平滑筋肉腫など他の間葉系・上皮性腫瘍でも陽性を示すなど特異度が低いという欠点がある。それに比べSOX10は、s-100よりも更に高感度であり、筋上皮腫やびまん性星細胞腫を除く他の間葉系・上皮性腫瘍にはほとんど反応せず、特異度が高いと報告されている。
SOX10 | S-100 | |||
n | % | n | % | |
Malignant melanoma | 76/78 | 97 | 71/78 | 91 |
Clear cell sarcoma | 5/5 | 100 | 3/5 | 60 |
Neurofibroma | 51/52 | 98 | 50/52 | 96 |
Schwannoma | 33/33 | 100 | 33/33 | 100 |
MPNST(悪性末梢神経鞘腫) | 38/77 | 49 | 23/77 | 30 |
Daisuke Nonaka, MD, et al. Sox10: A Pan-Schwannian and Melanocytic Marker. American Journal of Surgical Pathology. 2008; 32: 1291-1298
悪性黒色腫の診断においてもSOX10は、MelanAやHMB45よりも感度において優れており、悪性黒色腫や末梢神経腫瘍の診断における新しい診断マーカーとして、その有用性が注目されている。
(自験例、悪性黒色腫 ×100 後染色:Giemsa染色)
<追記(伊藤)>2015年に5134例のlarge case studyが報告された。
上記に記載があるとおり、筋上皮あるいはその腫瘍性のcouterpartsにも陽性である。
(多形腺腫、腺様嚢胞癌、乳癌(一部)、筋上皮腫(良性、悪性(一部), cylindroma, spiradenomaなど)
執筆日:2014/2/17
執筆者:兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部(病理検査室) 南 智也
運営:いむーのワーキンググループ 代表 伊藤 智雄 (神戸大学病院病理部)
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