免疫組織データベース~いむーの



SOX10(兵庫県立尼崎病院 南智也)

2014年2月17日

Rabitt polyclonal antibody

メーカー:CELL MARIQUE

希釈倍率:25倍希釈

原賦活化:熱処理(pH 8.0 EDTA)

推奨陽性コントロール:シュワン細胞、メラニン細胞、悪性黒色腫

染色パターン:

 

SOX10は、細胞の成長や分化を調節するSOX (SRY-related HMG-box) ファミリーに属し、シュワン細胞やメラニン細胞など神経細胞の成熟・分化に非常に重要な役割を果たす転写因子である。正常組織では、シュワン細胞、メラニン細胞、唾液腺・気管支腺・乳腺の筋上皮細胞にびまん性に発現している。

 

用途:

従来から、悪性黒色腫や末梢神経腫瘍の診断に有用なマーカーとされているs-100は、感度は良好であるが、滑膜肉腫や平滑筋肉腫など他の間葉系・上皮性腫瘍でも陽性を示すなど特異度が低いという欠点がある。それに比べSOX10は、s-100よりも更に高感度であり、筋上皮腫やびまん性星細胞腫を除く他の間葉系・上皮性腫瘍にはほとんど反応せず、特異度が高いと報告されている。

SOX10 S-100
n % n %
Malignant melanoma 76/78 97 71/78 91
Clear cell sarcoma 5/5 100 3/5 60
Neurofibroma 51/52 98 50/52 96
Schwannoma 33/33 100 33/33 100
MPNST(悪性末梢神経鞘腫) 38/77 49 23/77 30

Daisuke Nonaka, MD, et al. Sox10: A Pan-Schwannian and Melanocytic Marker.  American Journal of Surgical Pathology. 2008; 32: 1291-1298

悪性黒色腫の診断においてもSOX10は、MelanAやHMB45よりも感度において優れており、悪性黒色腫や末梢神経腫瘍の診断における新しい診断マーカーとして、その有用性が注目されている。

 

sox10

(自験例、悪性黒色腫 ×100 後染色:Giemsa染色)

<追記(伊藤)>2015年に5134例のlarge case studyが報告された。

上記に記載があるとおり、筋上皮あるいはその腫瘍性のcouterpartsにも陽性である。

(多形腺腫、腺様嚢胞癌、乳癌(一部)、筋上皮腫(良性、悪性(一部), cylindroma, spiradenomaなど)

 Sox10-A Marker for Not Only Schwannian and Melanocytic Neoplasms But Also Myoepithelial Cell Tumors of Soft Tissue: A Systematic Analysis of 5134 Tumors.Miettinen M, McCue PA, Sarlomo-Rikala M, Biernat W, Czapiewski P, Kopczynski J, Thompson LD, Lasota J, Wang Z, Fetsch JF.Am J Surg Pathol. 2015

執筆日:2014/2/17

執筆者:兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部(病理検査室) 南 智也

 

 

運営:いむーのワーキンググループ 代表 伊藤 智雄 (神戸大学病院病理部)

いむ~のは、データベースコンテンツの執筆協力をしていただける医師・研究者を募集しています。この抗体を載せて欲しい!この抗体なら自分が執筆する!という方がおられましたらtomitoh@med.kobe-u.ac.jpまで

注)

●すべての内容の著作権はいむーのワーキンググループに帰属します。

●このデータベース・内容の無断転載、複製、第3者へ配布することなどを禁止します!

●内容に関しては、さらに新たな知見が見つかっていることもあり、必ずしも最新の内容とは限りませんし、当然論文の内容も正しいとは限りません。内容の利用に関しては、利用者本人の責任において行い、論文・実験などで再確認してください。

●このデータベースを利用したことにより使用者が被ったいかなる損害に対しても、運営者は一切責任を負いません。

ページの先頭へ