ERG
2015年2月5日
Rabbit monoclonal antibody
メーカー:Nichirei (418111)
クローン:EP111
希釈倍率:1:2
抗原賦活化:ER2, 20分
推奨陽性コントロール:血管内皮
染色パターン:核
(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
ヒトETS関連遺伝子(ERG)はDNA結合転写因子で,41kDaの核蛋白であり,細胞の発生,分化,増殖,アポトーシス,組織の再構築などにおいて重要な役割を果たすETS(Erythroblast transformation-specific)転写因子ファミリーの一員である.ERGを含むいくつかのETS転写因子ファミリー遺伝子の転座は,腫瘍の発生と進行に関連していることが報告されている.本染色ではERG蛋白と特異的に反応する.正常組織では多くの組織の血管内皮細胞やリンパ球,骨髄前駆細胞などの核に反応が見られるが,腺上皮には反応は見られない.
(正常動静脈のERG染色.血管内皮細胞の核に陽性である.)
用途:
前立腺癌や多種の血管腫瘍等の腫瘍細胞の核に陽性となる.
前立腺癌においてTMPRSS2-ERG融合遺伝子が確認されている場合,より悪性度の高いとの報告がある(前立腺癌の16-28%(日本),50%(欧米)).TMPRSS2-ERG融合遺伝子の発現とERG蛋白の発現には相関性が高いことが報告されている.
(前立腺癌(自験例).左:H&E染色,右:ERG染色.)
執筆日:2015/2/5
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子