Pan-cytokeratin (Cytokeratin cocktail)
特別新しい話題ではありません.
日常の病理診断では,いわゆる汎サイトケラチン染色はなくてはならない存在です.最近はCK5, CK7, CK13, CK17, CK19, CK20の様な1種類のサイトケラチンに特異的な抗体が増えていますが,癌と悪性リンパ腫,骨・軟部腫瘍などとの鑑別では,今も昔も汎サイトケラチン染色は重要な役割を果たし,染色しないということは考えられません.
どれだけの種類のサイトケラチンに反応すれば「汎」サイトケラチンというのかは考え方次第ですが,一般的な病院病理部ではいわゆる「汎」サイトケラチンとしてAE1/AE3やMNF116,「低分子」汎サイトケラチンとしてCAM5.2,「高分子」汎サイトケラチンとして34βE12が採用されているのが多いのではないでしょうか.
ただ,時に癌だと思うのに汎サイトケラチン染色が今一つ判然としない染まりをしたり,一部だけが弱陽性だったりすることがあって,もっと他のクローンで染色がしてみたくことがあります.
2016年3月1日現在,検索可能な「汎」サイトケラチンの市販抗体の一覧を作成しましたので御参照下さい.メーカー名はあえて除いていますので,必要時はクローン名を用いてインターネットなどで御検索下さい.2~3種類のサイトケラチンを認識する様に作製されたものは基本的に除外しています.
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*メーカーの添付文書より作成.各クローンに反応するケラチンについての説明はメーカーにより多少の違いがある.
*低分子ケラチン: CK7,8,17,18,19,20
*高分子ケラチン: CK1,2,3,4,5,6,9,10,11,12,13,14,15,16
執筆日: 2016/03/03
執筆者: 神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕