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S100P

2021年3月17日

抗体名:anti-S100P (16/f5) Mouse Monoclonal Primary Antibody
メーカー:VENTANA
Clone: 16/f5 (マウスモノクローナル)
推奨陽性コントロール:膵癌、胎盤、泌尿器癌
染色パターン:核と細胞質

S100PはCa2+結合タンパクで細胞周期や分化に関与していると言われており、S100ファミリータンパクの1つ。正常組織での発現は胎盤組織が知られているが、様々な癌での過剰発現も報告されている。免疫染色の診断的応用を期して特定臓器の正常細胞と悪性細胞における染色性の相違に着目した研究が見られる(*1)。

本邦での画期的な研究成果として、胆道腫瘍の病理診断においてS100Pの染色性と組織像を組み合わせたBilIN(胆管内上皮内腫瘍)異型度鑑別のアルゴリズムが提唱されている(*2, 3)。S100Pの発現が正常胆管や反応性の胆管上皮にはなく、上皮内腫瘍であるBilIN2/3と浸潤癌では見られることがその根拠となっている。そのほかS100Pを含む数種類のマーカーの組み合わせでより高い感度・特異度で浸潤性膵管癌を鑑別する方法なども報告されている(*4)。

*1) The calcium-binding protein S100P in normal and malignant human tissues, BMC Clinical Pathology, 2008 8-2  http://www.biomedcentral.com/1472-6890/8/2

*2) Pathological diagnosis of flat epithelial lesions of biliary tract with emphasis on biliary intraepithelial neoplasia, J Gastroenterol, 2014 Jan;49(1):64-72

*3) WHO新分類による胆道癌の前癌病変および早期癌病変 中沼安二 胆道28巻2号 154-162 (2014)

*4) Immunohistochemical staining for S100P, SMAD4, and IMP3 on cell block preparations is sensitive and highly specific for pancreatic ductal adenocarcinoma, Journal of American Society of Cytopathology, 2018, Volume 7, Issue 6, Pages 318-323

胆管内上皮内腫瘍(BilIN)を含む病変にS100Pが陽性を示す。

執筆:2021/3/4  淡路医療センター加島 志郎

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