Immunoglobulin heavy chain
(Ig, イムノグロブリン)
メーカー:DAKO
動物種:ウサギポリクロナール抗体
希釈倍率:抗IgG抗体 1:1000, 抗IgA抗体1:500, 抗IgM抗体1:500, 抗IgD抗体 1:50
前処置:トリプシン
推奨陽性コントロール:扁桃、虫垂、反応性リンパ節など
染色パターン:細胞質内
(上記は岡山大での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
反応性:B細胞(形質細胞主体)
用途その他:パラフィン材料での免疫染色では、形質細胞の持つ免疫グロブリンの性状を検索するために用いる。 骨髄腫の腫瘍性か否かは、免疫グロブリン軽鎖の偏りによって判定するために、第一義的に検索する頻度は高くない。しかし、しばしば軽鎖では判定できないことがあり、そのような場合重鎖を検索し、どの程度形質細胞性細胞があるかを確認することに用いる。また、軽鎖の染色性が低下している所見自身が腫瘍性を示唆する所見である。重鎖は軽鎖に比べて腫瘍性形質細胞で陰性になることは少ない。全く陰性であれば、Bence-Jonesが疑われる。 MALTリンパ腫の場合、3割程度は形質細胞への分化が見られる。この場合でも軽鎖のみでは判定に苦慮することがある。そのような場合、重鎖を検索する。胸線以外の臓器のMALTリンパ腫以外ではIgA陽性の頻度は低く、IgMあるいはIgG陽性が多い。粘膜関連リンパ組織の非腫瘍性形質細胞ではIgA陽性細胞が主体であるので、有意な所見である。 マクログロブリン血症ではIgM陽性が原則であり、この場合も軽鎖が判定困難な場合診断に役立つ所見である。
κ λ
マクログロブリン血症 IgM陽性である
執筆日:2006/2/6
執筆者:岡山大学病理病態学教室 吉野 正