Multi-tissue control block (sausage block, spring-roll block, ham block)の作製方法
正しい免疫染色を行うためには適切なコントロール切片を用いる必要がある。それも同一プレパラート上に載せて染色することが望ましい。
本稿では多組織から構成された汎用性の高いsausage blockの作製方法を示す。
1)検体の集め方:
様々な組織を集めるのに時間を要するが、ただホルマリンに漬けた状態では過固定に陥ってしまう。
適切な固定状態にあるものを小さく切ってPBSに移し、冷蔵庫で保管すれば少なくとも半年程度はよい固定状態のまま保管ができる。
組織の種類:
扁桃:扁平上皮、リンパ装置が含まれ、上皮性マーカー、リンパ球系マーカー、樹状細胞マーカーなど様々なものに用いることができる。
甲状腺:TTF-1やthyroglobulinなど
肺:TTF-1、PE10など
膵尾:内分泌系、ホルモンなど
肝、特にB型肝炎:HepPar1やHBsなど
大腸:CK20やαSMAなど
前立腺:PSA, p63, 34βE12など
子宮筋層:平滑筋系、ER、PRなど
胸腺腫:TdTなど
脳:synaptophysin, GFAPなど
羊膜:上記組織を包む
2)ブロックの作り方(写真は野菜やハムなどの食材で代用しています)
1.PBSで保管していた上記の組織を細いスティック上に切る。切った分のブロック数を作製することができるが、残ったものはPBSで保管してもよい。
たくさんの組織(※写真は野菜)をこのように索状に切ります
カセットのなかで羊膜で包みます(※写真は白菜)
このあと、tissue processing→ 輪切り→パラフィン包埋で完成です。
左が検体、右側がコントロール。このように同一プレパラート上にコントロールを載せることが理想。
参考文献:(Ann Diagn Pathol. 2000 Oct;4(5):329-36)
執筆日:2009.07.14
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理部 柳田絵美衣、今川奈央子、伊藤智雄