PAM染色
2009年5月20日
過ヨウ素酸メセナミン銀(PAM)染色は1953年にジョーンズが考案した、銀を用いた細網線維染色である。 腎糸球体の基底膜を染色する方法として有名であるが、メサンギウム細胞、尿細管基底膜、PAS陽性物質、アルツハイマーの老人斑なども良く染め出す優秀な染色法である。 原理は過ヨウ素酸で酸化することによって多糖類からアルデヒド基を遊離させ、そのアルデヒド基にメセナミン銀錯塩が結合すると考えられる。 しかし矢島らは、過ヨウ素酸の酸化が無くても生体内色素が染まることや、電顕用の超薄切片の腎糸球体基底膜が染まることから、電子荷電による物理化学的反応も関与しているものと考えている。
染色法
1) 脱パラ・水洗
2) 1%過ヨウ素酸液 15分
3) 流水水洗
4) 0.5%チオセミカルバジド液 2分
5) 流水水洗、その後、蒸留水洗
6) メセナミン銀液 60℃ 45分~55分
7) 蒸留水洗
8) 4%中性ホルマリン 10分
9) 蒸留水洗
10)0.2%塩化金 5分
11)水洗
12)Jonesの補強液 2分
13)水洗
14)5%チオ硫酸ナトリウム 3分
15)水洗
16)ヘマトキシリン 1分
17)水洗
18)エオジン 1分
19)水洗
20)脱水・透徹・封入
PAM染色の成否は、第一に『切片の薄さ』が非常に重要で2μm以下が必須になってくる。厚いと糸球体の基底膜が潰れスパイクなどの微細な構造やメサンギウム細胞などが確認できなくなる。
執筆日:2009.05.20
執筆者:神戸大学病院病理部 山田 寛