LCA (CD45)
(Leukocyte Common Antigen)
抗体:DAKO,CD45, Leucocyte Common Antigen, 2B11 + PD7/26
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
推奨陽性コントロール:扁桃、リンパ節、虫垂など
染色パターン: 細胞膜 (細胞質だけの陽性像は陽性ととらない)
反応性:正常ないし腫瘍性の白血球(成熟赤芽球、巨核球を除く全てのhematolymphoid cells)。
■CD45について
CD45タンパクはchromosome 1q31-32に位置する遺伝子にコードされている。異なるisoformが、状況に応じて発現する。単にCD45抗体といえばCD45タンパクの全てのisoformを認識するが、抗体によっては一部のもののみ認識する場合があり、用途によって異なる抗体が用いられる。
CD45タンパクのisoforms
・ 220kDa:ABC isoform
・ 205kDa:AB/BC isoforms
・190kDa:B isoform
・180kDa:O isoform
全てではなく一部に限定された認識を示すCD45R抗体がある
・CD45RA:主にB細胞、未成熟なT細胞やナイーブT細胞(ABC, AB)
・CD45RB:主にB細胞。一部のT細胞、その他の顆粒球(弱)、組織球(弱)など (ABC, AB, BC, B)
・CD45RO:主にT細胞、一部のB細胞細胞、単球/マクロファージの一部 (O)
の3種が知られる。このうち、CD45ROはUCHL-1として知られ、以前は広くT細胞性マーカーとして用いられた。
PD7/26はCD45RB抗体であり、exon A, B, Cを欠損していない全てのCD45タンパクを認識する。2B11はABのみを認識する。広く使われる「LCA抗体」はPD7/26+2B11のカクテル抗体(CD45-CD45RB)である。
参考:Leong’s Manual of Diagnostic Antibodies for immunohistology, 3rd ed、p111-114)
用途:主に由来が分からない腫瘍の診断においてリンパ球系の細胞であることを確認するために用いられる。リンパ球系であることが明らかであるときには染色する必要性は乏しく、悪性リンパ腫の診断に際してルーチンに染めることは無駄が大きい。
注意:未分化大細胞型リンパ腫anaplastic large cell lymphoma: ALCL、リンパ芽球性リンパ腫lymphoblastic lymphoma、末梢T細胞型リンパ腫は時に陰性。Reed Sternberg細胞やHodgkin細胞は通常陰性。形質細胞および形質細胞種も陽性にはなりにくい。
執筆日:2005/06/03、2024/10/09加筆
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄