IMP3改変しました(酒井、柳田、今川)
(Insulin-like growth factor II mRNA-binding protein 3)
Mouse monoclonal antibody
クローン:69.1.
メーカー:Dako (M3626)
希釈倍率:1:100
抗原賦活化:ER2、10分
推奨陽性コントロール:リンパ節、膵島
染色パターン:細胞質
(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
別名 L523Sまたは KOC (K homology domain containing protein overexpressed in cancer) とも呼ばれる、4 つの K ホモロジードメインを含む RNA 結合型の癌胎児性蛋白で 580 個のアミノ酸残基からなる。遺伝子はヒトでは7番染色体に位置する。胎児形成期にubiquitousな発現がみられる分子で、embryogenesis早期のRNA traffickingや安定化、細胞増殖、細胞凝集に関与するとされる。非小細胞肺癌や膵癌、悪性中皮腫などの様々な腫瘍に発現しており、腫瘍の良悪性鑑別における有用性やより高い悪性度、予後不良との関連が報告されている。決して臓器特異性、腫瘍特異性の高いものではない。
(リンパ節。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(膵島。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(線維芽細胞ないし筋線維芽細胞。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(血管内皮。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(自験例(子宮高悪性度漿液性腺癌)。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(自験例(胆管高分化型管状腺癌)。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(自験例(浸潤性膵管癌)。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
(自験例(腎盂尿路上皮癌)。左側は核異型度の高い領域、右側は核異型度の低い領域。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
用途:
①反応性良性中皮か悪性中皮腫かの鑑別診断で利用されうる。
今まではGlut-1やm-EMA、MUC1、Desmin、p53、Ki-67といった染色を行って両者の免疫組織化学的鑑別を試みたが、必ずしも明瞭な結果が得られるものではなかった。IMP3染色はCD146染色と共に、新しい悪性マーカーとして期待されるが、以下の結果をみる限りでは、Glut-1やm-EMA、MUC1、Desmin、p53、Ki-67といった染色パネルに加えてもよいかという程度に見える。
文献:Lee AF, et al. IMP3 and GLUT-1 immunohistochemistry for distinguishing benign from malignant mesothelial proliferations. Am J Surg Pathol 2013;37:421-6.
文献:Shi M, et al. Oncofetal protein IMP3, a new diagnostic biomarker to distinguish malignant mesothelioma from reactive mesothelial proliferation. Am J Surg Pathol 2011;35:878-82.
(自験例(上皮型胸膜悪性中皮腫)。上:H&E染色、下:IMP3染色。)
②体腔液中の癌細胞か反応性中皮細胞の鑑別診断でマーカーの一つとして利用されうる。
文献:Hanley KZ, et al. Utility of anti-L523S antibody in the diagnosis of benign and malignant serous effusions. Cancer Cytopathol 2008;114:49-56.
文献:Ikeda K, et al. IMP3/L523S, a novel immunocytochemical marker that distinguishes benign and malignant cells:the expression profiles of IMP3/L523S in effusion cytology. Hum Pathol 2010;41:745-50.
執筆日:2014/02/19
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子
運営:いむーのワーキンググループ 代表 伊藤 智雄 (神戸大学病院病理部)
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