抗体データベース

CD79a

抗体: JCB117 monoclonal
希釈倍率:x25
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

推奨陽性コントロール:扁桃、リンパ節、虫垂など
染色パターン: 細胞質
反応性:正常ないし腫瘍性のB細胞

用途: 最も信頼できるB細胞性マーカーの一つ。CD20(L26)よりも守備範囲が広く、precursor cellsや形質細胞にも陽性。 腫瘍ではB細胞に特異性高く染色される。形質細胞腫plasmacytomaのような形質細胞腫瘍plasma cell neoplasmにも半数程度に陽性である。ただし、B細胞性マーカーとしては特別な理由が無い限り通常L26を用い、CD79aはルーチンとはしない。

CD20とCD79aの差異

B細胞型リンパ芽球リンパ腫のようにCD20が陽性となり難いものには特に有効である。小細胞型リンパ腫small cell lymphomaもCD20を発現しづらい場合があり、そのような場合も有効である。リツキサン治療後にはCD20の陰転化が知られており、CD79aを加えると良い。
nodular lymphocyte predominance Hodgkin lymphomaのL&H cellsに陽性。 Classical HodgkinのRS細胞にも時に陽性。

CD20はびまん性シート状の陽性は通常B細胞性リンパ腫であることを示唆するが、CD79aは必ずしもそうではない。形質細胞は濾胞は作らず、びまん性シート状に浸潤しうるからである。

リウマチ性関節炎。CD79aは形質細胞を含め、びまん性シート状の陽性となるが、もちろんリンパ腫ではない。

注意
・平滑筋にも弱く陽性を示す場合がある。(John KC Chan. Tumors in lymphoretiucular system in Flercher et al. Diagnostic histopathology of tumors p1105)
・T lymphoblastic lymphomaがCD79aを共発現coexpressionすることがある(John KC Chan. Tumors in lymphoretiucular system in Flercher et al. Diagnostic histopathology of tumors p1106)。このような場合にはlineageの決定に遺伝子再構成などを要する場合もある。

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執筆日:2005/06/03、2020/10/10加筆
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄