抗体データベース

CK14

(Cytokeratin 14)

抗体:Leica, Mouse monoclonal antibody、LL002
希釈倍率:1:300
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

推奨陽性コントロール:扁平上皮
染色パターン:細胞質

CK14は50kDaのI型(酸性)ケラチンで、CK14 2本と塩基性のII型ケラチンのCK5 2本で4量体を形成している。基底細胞や筋上皮細胞などに分布している。

用途:CK14はCK5/6と同様、扁平上皮マーカーとして知られている。小検体において、形態的に分化傾向の明らかでない非小細胞肺癌に対する免疫染色パネルで、扁平上皮マーカーとして有用性が報告されている。また、過信は禁物であるものの、良性乳管内病変と非浸潤性乳管癌の鑑別において、CK5/6と同様、CK14は良性病変で乳管上皮にモザイク状の陽性像を呈する傾向があり、診断の一助になる。

表1 様々な上皮性腫瘍におけるCK14の染色結果

臓器組織型症例数CK14陽性数
副腎副腎皮質癌100
膀胱尿路上皮癌245
乳腺小葉癌60
 乳管癌200
結腸腺癌201
食道扁平上皮癌1414
胃腸カルチノイド150
胚細胞胚細胞腫瘍140
頭頸部扁平上皮癌3027
190
肝細胞癌110
 胆管細胞癌141
腺癌112
 扁平上皮癌1513
 小細胞癌71
 カルチノイド90
卵巣腺癌243
腺癌131
耳下腺全腫瘍95
前立腺腺癌180
皮膚メルケル細胞癌90
腺癌80
胸腺胸腺腫88
甲状腺濾胞腺腫241
 髄様癌160
 濾胞癌50
 乳頭癌100
子宮類内膜腺癌101
 頚部扁平上皮癌1513
その他悪性中皮腫173
 類上皮肉腫120
 神経内分泌癌90
 43598

出典:Chu PG, et al. Cytokeratin 14 expression in epithelial neoplasms: a survey of 435 cases with emphasis on its value in differentiating squamous cell carcinoma from other epithelial tumours. Histopathology 2001;39:9-16.

表2 免疫染色の結果

TTF-1/napsin+ and/or  ++/--/++/+不明
 腺癌(39例)38  (97.4%)4  (10.3%)1 (2.6%)33  (84.6%)1 (2.6%)
 扁平上皮癌(25例)0 (0%)0 (0%)0 (0%)0 (0%)0 (0%)
p63/CK14+ and/or  ++/--/++/+不明
 腺癌(39例)0 (0%)0 (0%)0 (0%)0 (0%)0 (0%)
 扁平上皮癌(25例)25  (100%)2 (8.0%)1 (4.0%)25 (88%)0 (0%)

出典:Yanagita E, et al. Rapid multiplex immunohistochemistry using the 4-antibody cocktail YANA-4 in differentiating primary adenocarcinoma from squamous cell carcinoma of the lung. Appl Immunohistochem Mol Morphol 2011;19:509-13.

肺癌における筆者の印象では、単独マーカーとしてのCK14は、CK5/6より感度は低いものの、扁平上皮癌に対し、概ねパラレルな染色態度を示すように思われる。日常診断で、乳腺や唾液腺、前立腺で筋上皮細胞、基底細胞を染色するのに、あえてCK14を使う理由は見出せない。

執筆日:2012/11/15
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現:関西医科大学総合医療センター)