HHF35
(Muscle actin)
抗体:Dako IS700, mouse monoclonal
推奨陽性コントロール:血管壁、消化管粘膜筋板・固有筋層、子宮
染色パターン:細胞質
アクチンは分子量42kDaの球形の蛋白質(G-actin)で、生理的条件下ではATPの加水分解を伴って数珠状に重合し、右巻き二重螺旋状の多量体を形成してアクチンフィラメント(F-actin)を形作る(直径6-7nm)。アクチンには6つのアイソフォーム、すなわち、αアクチン3種類(心筋、平滑筋、骨格筋)、βアクチン、γアクチン2種類(筋肉以外、平滑筋)がある。等電点の違いにより(pHの低い方から)α(1q42:α1など)、β(7p22)、γ(17q25;γ1など)に分類されており、それぞれ遺伝子が異なる。アイソフォームそれぞれの間では90%以上の相同性を示す。α-アクチンは筋収縮を担い、β-アクチンとγ-アクチンは主に細胞骨格としてのアクチンフィラメントを構成する。HHF35抗体は横紋筋、平滑筋ともに反応するが、特に心筋と平滑筋に見られるαとγアクチンを認識するとされる。
(注)HHF35はクローン名であるが、多種多様なアクチン関連抗体(α-SMA等)との区別をしやすくすることもあって、あえてMuscle actinやMuscle specific actinと呼ばずにHHF35と呼ぶことが多い。
執筆日:2012/12/28
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現関西医科大学総合医療センター 病院)