Amyloid β
(Aβ)
抗体:Mouse monoclonal antibody、6F/3D、Leica
希釈倍率:1:50
抗原賦活化:99%ギ酸 5分
(上記は淀川キリスト教病院での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
推奨陽性コントロール:アルツハイマー病でみられる老人斑 (Senile plaque: SP)。部位は海馬およびその周辺の側頭葉で出現頻度が高い。
(SP自体は、Bielschowsky、Gallyas- Braak、Bodian、メセナミン銀などの嗜銀染色で確認できる。なお、Bodian染色の試薬は、現在販売中止となっている。)
アミロイドは線維構造を持つ難溶性の蛋白質である。1984年にアミロイドが沈着したアルツハイマー患者の脳血管から分子量4.2kDaのAβタンパクが同定され、さらに免疫組織化学的にSPを構成する蛋白がAβであることが確認された。免疫染色では、SP中心のコアは強染され、周辺は繊細な線維網として染色される。コアはAβ以外にcongo redやHEでも同定できるが、抗原賦活のためのギ酸処理を行うと嗜銀性やcongo redでの染色性が低下するので注意が必要である。また、SPを構成するコア周囲の腫大神経線維にはtau蛋白が陽性である。なお、形態学的にSPの状態をとらず、(ということはコアや腫大変性線維を伴わずHEで確認できない状態)Aβが細線維状、微細顆粒状に広く染色される状態をびまん性老人斑と言う。もう一つのアミロイド沈着の代表的疾患であるアミロイドアンギオパチーでは、血管壁にABが沈着している。この場合は免疫染色での反応性が良いので、ギ酸処理を行わなくても染色が可能なことが多い。
用途:アルツハイマー病、レビー小体病のアルツハイマー型変化、アミロイドアンギオパチー、ダウン症候群の脳組織など
執筆日:2013/01/31→2024/10/07 画像は復旧不可
執筆者:淀川キリスト教病院病理診断科 上田佳世