抗体データベース

Amyloid A

抗体:mc1 (Mouse monoclonal antibody)DAKO (code M0759)
希釈倍率:1:400
抗原賦活化:処理なし
推奨陽性コントロール:アミロイドーシス(AA)症例

(上記は神戸大病理部での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

アミロイドーシスとは、アミロイド線維蛋白を主成分とするアミロイドが組織、臓器に沈着し、機能障害を起こす疾患の総称である。アミロイドは生理的条件下では非常に難溶性である。ヘマトキシリン・エオジン染色では均質な無構造の好酸性物質として観察され、コンゴ赤染色やDFS染色で橙~赤橙色に染色される。偏光顕微鏡下では緑色複屈折性を示す。透過型電顕下では、幅8~12nm、長さ50~1000nmの枝分かれのない、一対のねじれた細線維の集積として見られる。ヒトでは20種類以上のアミロイド線維蛋白が同定されているが、二次性(続発性、反応性)アミロイドーシスは、血清アミロイドA(Serum Amyloid A, SAA)を前駆体蛋白としたアミロイドA(AA)である。ある種の癌や慢性炎症(骨髄炎、らい、気管支拡張症、褥創、関節リウマチ、クローン病、家族性地中海熱など)に続発する。アミロイドAは分子量約12,000の糖を含まない蛋白で、血中では高比重リポ蛋白(HDL)の構成アポ蛋白として存在している。

用途:アミロイドA蛋白の同定。

他のアミロイド型に比較してAAの免疫組織化学における染色性は良い。

コンゴ赤染色やDFS染色、及び偏光顕微鏡下に緑色複屈折性を確認することで、先ずは沈着物がアミロイドであることを確認する。 過マンガン酸処理後にコンゴ赤染色やDFS染色を行い、染色性が失うことでAAを確認する方法もあるが、アミロイドA染色を行うことでより明確に判定できる。陽性になればAA型アミロイドーシスと診断する。原発性あるいは骨髄腫に伴うAL型アミロイドーシスでも、時にアミロイドA染色が部分的に弱陽性~陽性になることがあるので、他の所見と合わせて総合的に判断すべきである。

執筆日:2012/11/29 2023.08.02  2024/10/07 修復(伊藤)

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現:関西医科大学総合医療センター)