抗体データベース

bcl-10

抗体: SANTA CRUZ BIOTECHNOLOGY、SC-527

(上記は神戸大での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

1.膵臓腺房細胞癌acinar cell carcinomaの診断 (神戸大伊藤追記)

膵acinar cell carcinomaのマーカーとしての利用が可能。

Hosodaらの研究(Pathol Int. 2013 Mar;63(3):176-82. BCL10 as a useful marker for pancreatic acinar cell carcinoma, especially using endoscopic ultrasound cytology specimens. Hosoda W1, Sasaki E, Murakami Y, Yamao K, Shimizu Y, Yatabe Y.) によれば

BCL10(Anti-BCL10 mouse monoclonal antibody (Clone 331.3; Santa Cruz, San Francisco, CA, USA) )は正常膵腺房細胞に陽性であり、腫瘍ではacinar cell carcinomaの82%に陽性、2/4例のadenosquamous cell carcinomaに陽性であったほかは、他のsubtypeにはほとんど陽性とならなかったと報告されている。

2. リンパ腫での応用 (近年はこの目的ではあまり使われない)

BCL10は、MALTリンパ腫に特異性の高いt(11;18)(q21;q21): API2/MALT1融合遺伝子およびMALT1遺伝子との関係が深い遺伝子産物である。免疫染色は、下記の方法で施行している。注意点としては、染色の強度が高くなく、陽性陰性の判定が難しいことがあることである。参考文献に示すように、評価に関しては複数の評価者間でもよく一致するが、その際、陽性コントロール、陰性コントロールを的確に取る必要がある。

【染色方法】
Zymed  monoclonal (Ventana) clone 151を希釈倍率1:100で使用。抗原賦活化ののち、3%H2O2で内因性peroxidaseブロック 抗体はZymedのclone 151を希釈倍率1:100で使用。 一次抗体は 4C overnight、二次抗体はEnvision+を使用。

【文献】

Sakugawa TS, Yoshino T, Nakamura S, Inagaki H, Sadahira Y, Nakamine H, Okabe M, Ichimura K, Tanimoto M, Akagi T. API2-MALT1 fusion gene in colorectal lymphoma. Mod Pathol. 2003;16:1232-41.

Okabe M, Inagaki H, Ohshima K, Yoshino T, Li C, Eimoto T, Ueda R, Nakamura S. API2-MALT1 Fusion Defines a Distinctive Clinicopathologic Subtype in Pulmonary Extranodal Marginal Zone B-Cell Lymphoma of Mucosa-Associated Lymphoid Tissue.Am J Pathol. 2003;162:1113-22.

執筆日:2005/12/28 2024/10/07修正

執筆者:岡山大学病理病態学教室 吉野 正 / 伊藤 智雄