抗体データベース

bcl-2

抗体:DAKO, N1587
(上記は神戸大での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

反応性:胚中心を除くB細胞、T細胞など

用途その他:bcl2遺伝子は濾胞性リンパ腫のt(14;18)(q32; q21)の18番染色体切断点近傍からクローニングされた。機能的にはアポトーシスに抗する作用があることが判明している。
BCL2蛋白は濾胞性リンパ腫の大部分の症例で高発現しており、一方反応性の胚中心細胞では発現を欠いているので(mRNAは検出できるので胚中心では特殊な制御機構があると推測される)両者の鑑別をするうえで重要な所見である。(最近は希になったが、濾胞性リンパ腫から分離同定されたので、「bcl-2陽性=濾胞性リンパ腫」という誤解をしないように)。胚中心以外では、正常リンパ球も陽性である。B細胞リンパ腫では濾胞性リンパ腫に限らずマントル細胞リンパ腫、MALTリンパ腫などの低悪性度リンパ腫のほとんどで検出されるし、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫でも多くの症例で認められる。また、T細胞性リンパ腫や骨髄球系の白血病でも広く発現が見られるので、この点をよく銘記すべきである。濾胞性リンパ腫では大体8-9割が陽性になるが、陰性例も見られる。興味深いことに、細胞が大型化した、特にGrade3bの濾胞性リンパ腫では陰性例が多い。また、バーキットリンパ腫では大半が陰性であり、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫との鑑別点のひとつである。

執筆日:2006/2/8, 2023.08.03修復 
2024/10/07小修正(伊藤智雄)

執筆者:岡山大学病理病態学教室 吉野 正