CD10(CALLA)
クローン: 56C6 Mouse monoclonal (Leica) PA0131
賦活化: HIER
(上記は神戸大学使用抗体で一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
推奨陽性コントロール:扁桃、虫垂などのリンパ瀘胞胚中心。腸管上皮細胞なども陽性。ただし、腸管上皮細胞は陽性強度が強すぎ、陽性コントロールとしては適当でない。
染色パターン: 細胞膜、まれにゴルジ野
CD10はCommom Acute Lymphoblastic Leukemia Antigen (CALLA)とも呼ばれ、約100kDaの単鎖Glycoproteinであり、neutral endopeptidase(NEP)、enkephalinaseなどと同一のものである。
染色性および用途
正常組織
・胚中心のリンパ球; precursor lymphoid cells; 顆粒球 (John KC Chan. Tumors in lymphoretiucular system in Flercher et al. Diagnostic histopathology of tumors p1106)
・一部の上皮細胞(特に乳腺筋上皮、胆管および毛細胆管、尿細管、尿細管上皮、腸管上皮など)
・乳腺間質の線維芽細胞
・内膜間質:上皮細胞のはっきりしないendometriosisの確定にも有用である。
腫瘍
・瀘胞性リンパ腫(follicular lymphoma):約80%に陽性。特に瀘胞間領域のびまん性陽性像は診断的価値が高い。ただし、胚中心外にリンパ腫細胞が進出した場合、CD10のdown regulationが起こることも多い。またhigh gradeの濾胞性リンパ腫では陰性となりやすいので注意。
・バーキットリンパ腫Burkitt lymphoma
・リンパ芽球性リンパ腫/白血病 lymphoblastic lymphoma/leukemia
・一部のT細胞リンパ腫→Nodal T follicular helper cell lymphomaについて
・びまん性大細胞型リンパ腫の一部
・中腎性腫瘍
さまざまな非血液性腫瘍 特にendometrial stromal sarcomaや腎細胞癌(Chu P, Arber DA. Paraffin-section detection of CD10 in 505 nonhematopoietic neoplasms. Frequent expression in renal cell carcinoma and endometrial stromal sarcoma.Am J Clin Pathol. 2000 Mar;113(3):374-82)
内膜間質に陽性であることを利用して、内膜癌の浸潤の有無に有用とも思われるが、実際には筋層浸潤であるのかadenomyosisのinvolvementであるのかの区別にはCD10は有用でないと報告された(筋層浸潤においても癌胞巣周囲にCD10陽性細胞がとりまくため) (Srodon M, Klein WM, Kurman RJ. CD10 imunostaining does not distinguish endometrial carcinoma invading myometrium from carcinoma involving adenomyosis.Am J Surg Pathol. 2003 Jun;27(6):786-9)
執筆日:2005/06/16→2024.10.07改変
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄