CD34
クローン: NU-4A1
メーカー:Nichirei
希釈倍率: x50
推奨陽性コントロール: spring roll.
染色パターン: 細胞膜+/-細胞質 ※膜の陽性を必ず確認すること
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
110kDaの細胞膜貫通型シアル化糖蛋白。
■血管マーカー
血管内皮に発現がみられるため、血管内皮由来腫瘍の細胞起源確認に用いられる。ただし、リンパ管内皮にも陽性となるため、血管vsリンパ管の鑑別に用いることはできない(腫瘍においてこの目的に用いることのできる抗体は原則として存在しない)。
■骨髄にて造血前駆細胞の確認
骨髄では造血前駆細胞のマーカーとして利用できる。正常では1~1.5%の陽性数とされる。幹細胞のみならず、骨髄球系、赤芽球系、リンパ球系のやや成熟した細胞にも陽性となる。
■Gastrointestinal Stromal cell Tumor (GIST)の診断
GISTは典型的にはCD34強陽性である。c-kitが知られる以前は、極めて重要な役割を果たしていた。
■Dermatofaibrosarcoma protuberance (DFSP)の診断
DFSPはCD34が陽性となり、診断の一助となる
■上皮性肉腫epithelioid sarcomaにも陽性となることがある
同腫瘍は病理医に取って様々な腫瘍のmimickerであり、診断困難となることが多い。cytokeratin, CD34, CD125などの陽性が知られる。これらの結果に惑わされると、おかしな方向の診断へ誘導されるため、要注意。
その他、多数の細胞が陽性となるため、特異度には常に注意をし、組織像、他のマーカーの結果を総合しながら診断することが望まれる。
執筆日:2024/10/09
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄