抗体データベース

CD56

(NCAM)

抗体:Roche 760-4596, CD56 (MRQ-42) Rabbit Monoclonal Antibody
推奨陽性コントロール 扁桃、虫垂、反応性リンパ節など
染色パターン 細胞膜
(上記は岡山大学の条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

反応性:NK細胞、T細胞の一部、形質細胞、神経細胞、神経内分泌性腫瘍

用途その他

●CD56抗原は、NK細胞との関係が深いことが有名であるが、NCAM (Neural Cell Adhesion Molecule)の名をみるとわかるように、接着因子のアイソフォームのひとつである。この接着因子はhomophilic adhesion、すなわちNCAM同士が結合することが知られている。分子量は140Kdaである。 リンパ腫白血球関連病変に限ってもNK細胞リンパ腫、T細胞性リンパ腫の一部、多発性骨髄腫、ALCLの一部、骨髄性白血病の一部に陽性である。そのほかsmall cell carcinomaやneuroendocrine carcinomaなど非白血球性の腫瘍でも重要なマーカーであり、それだけではlineage specificityがない。パラフィン材料に適用可能なCD3抗体は細胞質内のCD3εを認識するのであるが、これはT細胞のほかNK細胞でも発現している。そのため、cCD3陽性、CD56陽性ということではNK細胞でもT細胞でも起こりうる所見であり両者の鑑別にはならないので、T/NK細胞リンパ腫という表現をしている。(CD3の項も参照して下さい)。 Nasal type NK/T cell lymphomaは、他のリンパ腫と異なった治療戦略をとる必要があり、その場合EBV陽性が重要で、CD56,CD3とともにEBVを検索することが必要である。

●Hirschsprung diseaseの評価の際、凍結が用意できなかった場合には、CD56を用いて粘膜固有層の神経線維の増生を証明することができる(Oh JT et.al. Giles et.al.など)。

NK/Tリンパ腫、鼻型: CD56陽性で、EBVも証明された

執筆日:2006/2/9

執筆者:岡山大学病理病態学教室 吉野 正