CEA
抗体:Dako, mouse monoclonal, (IR622) Carcinoembryonic Antigen, clone II-7
希釈倍率:1
(上記は神戸大病理部での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
推奨陽性コントロール:結腸癌
染色パターン:細胞膜
癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen: CEA)は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)細胞表面投錨糖蛋白(分子量 180kD)で、細胞接着に関連している。糖部分の多様性により、糖含有量は50〜60%だが、蛋白部分は一定で約600個のアミノ酸よりなっている。CEA1分子中に24〜26個の糖鎖が結合している。1965年Goldらによりヒト大腸癌組織および胎児腸管に存在する癌特異抗原として報告されたが、後に癌胎児性性格は否定されている。CEA抗血清と交叉反応性を有するCEA関連抗原の存在が知られている。CEA は正常大腸組織においては主に上皮細胞の管腔側の主に膜に局在している。主に腺癌に対する指標となり、大腸癌をはじめとする消化器癌で認められるが、消化器癌に特異的なものではなく、肺癌、乳癌、肝癌、膵癌、卵巣癌、子宮癌をはじめとして、白血病、リンパ腫、肉腫を除くほとんどの臓器の癌組織で検出される。
用途:
病理診断上、主に腺癌あるいは腺分化に対する指標として利用されている。但し、扁平上皮癌やカルチノイド、小細胞癌、大細胞神経内分泌癌、髄様癌、悪性中皮腫などでもCEA陽性となるものがあるので、あくまで他の染色結果や臨床情報などとの総合判断が必要である。
(注)血清CEA値が高値で、その原因となりうる病変が臨床的にそこしかなければ、病変においてCEA染色陽性となるかもしれないが、逆に、病変でCEA染色陽性であっても、それがすなわち血清CEA値高値ではない。CEA染色はあくまで定性検査である。
執筆日:2012/12/21
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現:関西医科大学総合医療センター)