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Claudin 4

抗体:invitrogen 32-9400

推奨陽性コントロール:膵癌、卵巣癌、乳癌、前立腺癌
染色パターン:細胞膜

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

Claudin 4(CLDN4)はウェルシュ菌エンテロトキシンのレセプターとしてクローニングされた、全長209アミノ酸からなる4回膜貫通蛋白質であり、タイト・ジャンクションを構成する、22.1kDaの接着分子である。特に肺、腸管、腎を中心として、胎児、成人組織の多くに発現している。Claudin 4遺伝子(7q11.23)は、神経発達疾患である、常染色体優性遺伝のWilliams-Beuren症候群(大動脈弁上部狭窄、多発性末梢肺動脈狭窄、特異的顔貌(elfin face), 精神発達遅延、成長障害、特徴的な歯牙奇形、小児期高カルシウム血症)で欠失していることが知られている。乳癌、卵巣癌、子宮癌、食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、胆道癌、前立腺癌等、種々の癌で高発現が報告されている。Claudin 4を発現させた癌細胞で腫瘍形成能や細胞運動能が亢進すること、Claudin 4に対するsmall interfering RNAを用いて癌細胞でのClaudin 4発現を抑制すると、癌細胞の浸潤能が低下する。

用途:

病理診断上、Claudin 4染色は、悪性中皮腫の陰性マーカー、癌の陽性マーカーとして利用できる。

 症例数PAX8PAX2Napsin ACA IXClaudin-4
陽性数%陽性数%陽性数%陽性数%陽性数%
 淡明細胞型333194237082432972885
腎細胞癌乳頭状101010066077077010100
 嫌色素性12975433000012100
上皮型胸膜中皮腫400000004010000
*CA IX, Carbonic anhydrase IX

文献:Ordonez NG. Value of PAX8, PAX2, claudin-4 and h-caldesmon immunostaining in distinguishing peritoneal epithelioid mesotheliomas from serous carcinomas. Mod Pathol 2013;26:553-62.

 乳頭状漿液性腺癌(45例)上皮型腹膜中皮腫(40例)
陽性数%陽性強度陽性数%陽性強度
1+2+3+4+1+2+3+4+
PAX84293021228000000
PAX225564786000000
Claudin-4449813634000000
h-caldesmon000000000000

文献:Ordonez NG. Value of PAX8, PAX2, napsin A, carbonic anhydrade IX, and claudin-4 immunostaining in distinguishing pleural epithelioid mesothelioma from metastatic renal cell carcinoma. Mod Pathol 2013;26:1132-43.

しかし、Claudin 4染色が中皮腫に陽性になったという報告もあるので、鑑別診断における免疫染色パネルの一つとしての利用が望まれる。

執筆日:2013/12/04

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現:関西医科大学総合医療センター)

2024/10/16 一部修復