ERG
抗体:Roche, anti-ERG (EPR3864) Rabbit Monoclonal Primary Antibody
推奨陽性コントロール:血管内皮
染色パターン:核
(上記は神戸大病理部での条件(Leica BOND-MAXTM)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
現状、最も信頼できる血管マーカー。その他、TMPRSS2-ERG融合遺伝子を有する前立腺癌、ERG translocationを示すEwing肉腫、一部骨髄性白血病。
ヒトETS関連遺伝子(ERG)はDNA結合転写因子で,41kDaの核蛋白であり,細胞の発生,分化,増殖,アポトーシス,組織の再構築などにおいて重要な役割を果たすETS(Erythroblast transformation-specific)転写因子ファミリーの一員である.ERGを含むいくつかのETS転写因子ファミリー遺伝子の転座は,腫瘍の発生と進行に関連していることが報告されている.本抗体はERG蛋白と特異的に反応する.正常組織では多くの組織の血管内皮細胞やリンパ球,骨髄前駆細胞などの核に反応が見られるが,腺上皮には反応は見られない.
用途:
■正常血管内皮、血管性腫瘍。現状では最も信頼できるマーカーである。
■一部の前立腺癌。
前立腺癌においてTMPRSS2-ERG融合遺伝子が確認されている場合,より悪性度の高いとの報告がある(前立腺癌の16-28%(日本),50%(欧米)).TMPRSS2-ERG融合遺伝子の発現とERG蛋白の発現には相関性が高いことが報告されている.
■ERG translocationを示すEwing肉腫
※PItfall
38%の epithelioid sarcomaに陽性との報告あり
(Am J Surg Pathol. 2013 Oct;37(10):1580-5.)
CD31, claudin 5, and Prox1は陰性。※筆者注:CD34, podoplanin (D2-40)は高頻度に陽性となるので注意。
執筆日:2015/2/5, 2024/10/18小改訂(伊藤)
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現:関西医科大学総合医療センター)