HBME-1
(Mesothelial cell)
抗体:Dako, (M3505) Mesothelial Cell (Concentrate), Monoclonal (HBME-1)
推奨陽性コントロール:上皮型中皮腫
染色パターン:細胞膜、細胞質
(上記は神戸大病理部での条件(Ventana BenchMarkXT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)
HBME-1染色と呼ぶ方が馴染み深く同名をタイトルとしているが、HBME-1はあくまでクローン名である。中皮腫セルラインSPC111を免疫源として作製された抗体で、ヒト中皮細胞および中皮腫細胞表面の微絨毛に存在する、詳細不明の抗原に反応することが分かっている。基本的にはThick membrane pattern陽性像を呈するが、細胞質に陽性となることもある。中皮細胞や上皮型中皮腫の他、気管支上皮、頸管、軟骨、一部のB細胞、一部の腺癌、軟骨性腫瘍、一部のB細胞リンパ腫などにも陽性となる。
用途:
①病理診断上、肺腺癌と上皮型悪性中皮腫との免疫組織化学的鑑別で、中皮腫マーカーとして利用されて来たが、種々の研究の結果、特異性は高くないことが判明している。2012年のIMIGコンセンサスでは、中皮腫マーカーにHBME-1染色は挙げられていない。Mesothelin染色やThrombomodulin染色などと共に、中皮腫診断の補助的マーカーの位置づけとしておきたい。
文献:Husain AN, et al. Guidelines for pathologic diagnosis of malignant mesothelioma. 2012 update of the consensus statement from the international mesothelioma interest group. Arch Pathol Lab Med 2013;137:647-67.
執筆日:2013/12/26
執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕(現:関西医科大学総合医療センター)