抗体データベース

mdm2

抗体:Invitrogen, MDM2 Monoclonal Antibody (IF2), mouse monoclonal
希釈倍率:×50
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

染色性および用途

■Atypical lipomatous tumor/well-differentiated liposarcoma(ALT-WDLPS)およびdedifferentiated liposarcoma(DDLPS)は時に診断が難しく、前者は良性の脂肪と、後者は未分化肉腫との鑑別が問題となる。 両者に置いて、chromosome 12q13-15に存在するMDM2CDK4 genesはこの両者でamplificationされていることが分かっている。 免疫染色でもこの両者expressionは両腫瘍に感度、特異性が高く、診断に利用できる。Binhらによる 559 の軟部腫瘍(44 ALT-WDLPS, 61 DDLPS, 49 benign adipose tumors, and 405 non-ALT-WDLPS/DDLPS sarcomas)の検討では

 MDM2CDK4
ALT-WDLPS/DDLPS97%92%
benign adipose tumors5%2%
non-ALT-WDLSP/DDLPS sarcomas19%6%

と、感度、特異度とも優れた結果であった。 また、同時に検討されたgene amplificationともよく相関していた。

(Binh MB et.al. MDM2 and CDK4 Immunostainings Are Useful Adjuncts in Diagnosing Well-Differentiated and Dedifferentiated Liposarcoma Subtypes: A Comparative Analysis of 559 Soft Tissue Neoplasms With Genetic Data. Am J Surg Pathol. 2005 Oct;29(10):1340-1347)

mdm2 と組み合わせて用いられるが、解釈が難しいことも多く、理想的にはmdm2 FISHを施行すべきである。

注:myxoid/round cell liposarcomaはALT-WDLPS、DDLPSとは生物的に異なるentityであり、基本的に陰性であることに注意。上記の検討ではMDM2, CDK4とも4.2%のみ陽性。

■近年、pleomorphic liposarcomaという新たな概念が知られるようになった。dedifferentiated liposarcomaにように高分化成分を背景に持たず、多形性が強い脂肪肉腫で、cdk4(-), mdm2(-), rb lossが特徴である。

執筆日:2005.11.1、2024/10/10加筆