UCHL-1(CD45RO)
抗体:BioGenec AM113-5M, Mouse monoclonal
希釈倍率:×5
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
推奨陽性コントロール:扁桃、虫垂など
染色パターン: 細胞膜、時にGolgi (細胞質の陽性像は非特異的と考えるべき) (John KC Chan. Tumors in lymphoretiucular system in Flercher et al. Diagnostic histopathology of tumors p1106)
反応性:正常ではT細胞、組織球、骨髄球系に陽性。
用途:T細胞の同定、angioimmunoblastic T-cell lymphomaにおける 淡明細胞の顕在化
■CD45について
CD45タンパクはchromosome 1q31-32に位置する遺伝子にコードされている。異なるisoformが、状況に応じて発現する。単にCD45抗体といえばCD45タンパクの全てのisoformを認識するが、抗体によっては一部のもののみ認識する場合があり、用途によって異なる抗体が用いられる。
CD45タンパクのisoforms
・ 220kDa:ABC isoform
・ 205kDa:AB/BC isoforms
・190kDa:B isoform
・180kDa:O isoform
全てではなく一部に限定された認識を示すCD45R抗体がある
・CD45RA:主にB細胞、未成熟なT細胞やナイーブT細胞(ABC, AB)
・CD45RB:主にB細胞。一部のT細胞、その他の顆粒球(弱)、組織球(弱)など (ABC, AB, BC, B)
・CD45RO:主にT細胞、一部のB細胞細胞、単球/マクロファージの一部 (O)
の3種が知られる。このうち、CD45ROがUCHL-1として知られ、以前は広くT細胞性マーカーとして用いられた。現在、T細胞マーカーとしてはCD3の方が特異性が高く、使われなくなりつつある。Bリンパ腫の一部にも陽性となる。
その他、true histiocytic tumors, granulocytic sarcomaにも陽性となるので注意。
(John KC Chan. Tumors in lymphoretiucular system in Flercher et al. Diagnostic histopathology of tumors p1106)
染色性が細胞膜のため、angioimmunoblastic T-cell lymphomaにおける 淡明細胞の顕在化などに有用性が残る。
執筆日:2005/06/16 2024/10/09加筆
執筆者:神戸大学病院病理部病理診断科 伊藤 智雄