免疫組織データベース~いむーの



CK20

2006年1月27日

(Cytokeratin 20)

 

クローン: Ks20.8

メーカー:DAKO

希釈倍率: x250

抗原賦活化法:圧力鍋

(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)

推奨陽性コントロール: 腸管など

染色パターン: 細胞質

***ここまで北大病理部記入***

 

以下、旭川医科大学病院病理部三代川 斉之先生

サイトケラチン20は、分子量46kDのTypeⅠケラチンの一種で、成熟enterocyteとgoblet細胞に発現している。

抗サイトケラチン20抗体は、正常細胞では消化管小窩上皮、腸管上皮、胃幽門上部の内分泌細胞、移行上皮、Merkel細胞に発現されている。悪性細胞では、胃癌・大腸癌・直腸癌・膵癌・胆道系癌・卵巣粘液性癌・移行上皮癌・Merkel細胞癌に発現を見る。また、大腸癌・直腸癌では高発現するのに対し胃癌では発現率が低くなることも知られている。一方で、扁平上皮癌・乳癌・肺癌・子宮癌・卵巣非粘液性癌・小細胞癌には発現を認めない。

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メルケル細胞癌(写真:北海道大学病院病理部)

総括的には、扁平上皮癌と肝細胞癌・子宮癌・卵巣非粘液性癌を除いた横隔膜より下の臓器の癌に発現するTypeⅠケラチンと言えることから、抗サイトケラチン20抗体は癌のorigin推定のための抗体として重要である。 Moll R et al. Cytokeratin 20 in human carcinomas. A new histodiagnostic marker detected by monoclonal antibodies. Am J Pathol 140:427-47 (1992).

●CK7との組合せで腫瘍細胞の起源を推定することが可能となる

CK7/CK20の染色特性による腫瘍細胞の鑑別

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●CK20は尿路上皮癌の診断にも有用(北海道大学病院病理部 伊藤智雄)

CK20
(ワーキンググループ丸川活司の発表スライドより)

CK20は正常ではumbrella cellsにしか染色されないが、尿路上皮癌urothelial carcinomaでは全層性に陽性となる。 上皮内癌carcinoma in situにて診断的価値が高い。ただし、必ずしも特異的でないとの意見もあり、まだcontrovertialな部分もある。 HEと合わせれば少なくともflat lesionにおいて診断的価値が高い。p53を合わせればより信頼性が高まる。

 

 

執筆日:2006/1/27

執筆者:旭川医科大学病院病理部三代川 斉之先生(本文)

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