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Escherichia coli

2006年3月10日

抗体名: Escherichia coli 抗大腸菌(E. coli)・ウサギポリクローナル抗体

クローン: n/a(ポリクローナル)

メーカー: Dako

希釈倍率: x2,000(一次抗体一晩反応、アミノ酸ポリマー法(ニチレイ シンプルステインPO使用))

抗原賦活化: 圧力鍋による加熱処理(10mM クエン酸緩衝液 pH7.0使用) ただし、未処理でも実用上問題はない。

推奨陽性コントロール: グラム陰性菌感染病巣

陽性パターン: 陽性細菌(グラム陰性菌全般)の菌体、およびその分解物

(上記は藤田保健衛生大学医学部第一病理学での条件。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
反応性、性状および用途: ・大腸菌(E. coli)をはじめとするグラム陰性菌の同定。組織球の貪食などにより菌体が破壊されていても、抗原物質が残存していれば陽性となる。 ・大腸菌の菌体成分(LPSなど)を広範囲に抗原として認識する。大腸菌以外にも、共通抗原を有するグラム陰性菌全般に広く交差反応を示す。したがって、本抗体で陽性となっても、大腸菌感染症とは確定できない。 ・汎グラム陰性菌検出抗体として利用できるが、菌種によって反応性は異なる。陽性所見の強さは、大腸菌>肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)>緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)である。 ・ホルマリン固定パラフィン切片で良好な反応性を示す。背景染色がやや高い傾向があり、内因性ペルオキシダーゼ阻止を強めに行う、ブロッキングを併用するなどの工夫でコントラストが多少向上する。上記加熱処理も背景染色低減に効果がある。
(顕微鏡写真)

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(左)精巣上体炎。泡沫状組織球が多数出現し、黄色肉芽腫の所見を示す(HE染色) (右)その拡大像(HE染色)。

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菌体は確認できないが、組織球あるいは細胞外顆粒状構造物に一致して陽性所見がみられる。

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重症緑膿菌感染巣(剖検肺)。別項の抗緑膿菌抗体と比較すると、陽性所見は弱い。

 

 

執筆日: 2006/3/10

執筆者: 藤田保健衛生大学医学部第一病理学 下村龍一

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