SV40
(SV40 T antigen)
クローン: Ab-2
メーカー:CALBIOCHEM
希釈倍率:x100
抗原賦活化法:Pressure cooker
(上記は一例に過ぎません。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも”推奨メーカー”という意味ではありません。)
Simian virus (SV40)はサルを宿主とするポリオーマウイルスであるが、このポリオーマウイルス属には他にヒトを宿主とするJCウイルス(JCV)、BKウイルス(BKV)やmouse polyomavirusなどがある。 SV40 Large T(SV40T)抗原は初期蛋白であるが、SV40TはBKVのT抗原やJCVのT抗原と相同性を有するため、ヒトにおいてはBKVやJCVの検出に用いることができる。 ヒトにおいてJCV, BKVは不顕性感染をしている。
JCVは免疫不全状態において大脳白質の脱髄をおこす進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)を引き起こす。JCVはヒト大脳のoligodendrocyteに感染し、感染細胞の核は腫大し、すりガラス状となる(図参照)。
移植腎などの強い免疫抑制状態において、尿細管、尿路上皮に潜伏感染していたBKVが再活性化を引き起こすことがある。その際は尿細管上皮の核がすりガラス状に腫大する。また出血性膀胱炎を引き起こした際にも膀胱上皮に同様のすりガラス状の核が出現する。
尿細胞診ではdecoy cell (おとり細胞)として出現することがあるが、このdecoy cellはBKV以外にadenovirusなどでも出現することから、両者を鑑別するために移植腎でdecoy cellsが認められた場合は尿からのcell blockによる免疫染色も有効と考えられる。
中枢神経系での染色例
PML | SV40免疫染色 |
尿における染色例
移植腎における染色例
間質腎炎パターンの組織反応 | 強拡大にてdecoy cellsが確認できる |
←SV40免疫染色 |
執筆日:2006/3/14 2007/2/13 尿写真追加
執筆者:北海道大学病院病理部 久保田佳奈子