免疫組織データベース~いむーの



p40

2012年5月22日

anti-deltaNp63 rabbit polyclonal antibody

メーカー:CalBiochem (EMD Millipore) (Cat No PC373, 5-17)

希釈倍率:×1500

抗原賦活化:CC1 (Ventana)

推奨陽性コントロール:扁平上皮、尿路上皮、気管支線毛円柱上皮・前立腺(基底細胞)、乳腺・唾液腺(筋上皮細胞)など

染色パターン:

(上記は神戸大病理部での条件(Ventana Benchmark XT)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

63のアイソフォームとしてNp63(oncogene)とTAp63(p53-like tumor suppressor)がある。一般にp63染色で用いられるクローン4A4が認識するのは、両者に共通したコアドメインだが、p40はdeltaNp63のdeltaNドメインを認識する

 

用途:

近年、非小細胞肺癌においては治療選択の観点から、扁平上皮癌か非扁平上皮癌かの判定が重要視されている。特に小検体において、形態的に分化傾向の明らかでない非小細胞癌に対し、どのような免疫染色パネルを用いて扁平上皮癌あるいはその可能性を抽出するか、精力的に研究されている。p40はp63よりも優れた扁平上皮癌マーカーとして注目されている。

表1 肺扁平上皮癌に対するp63、p40の感度、特異度

一部でも陽性像があるとき

5%を超える陽性像があるとき

感度[%]

特異度[%]

陽性適中度[%]

陰性適中度[%]

感度[%]

特異度[%]

陽性適中度[%]

陰性適中度[%]

p63

100

60

34

100

100

66

38

100

p40

100

98

92

100

100

100

100

100

肺扁平上皮癌 対 肺腺癌、悪性リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma, Mediastinal large B-cell lymphoma, Anaplastic large-cell lymphoma)

Bishop JA, et al. p40 (DNp63) is superior to p63 for the diagnosis of pulmonary squamous cell carcinoma. Mod Pathol 2012;25:405-15.

 

表2 腺癌、扁平上皮癌に対するTTF-1、p63、p40の免疫染色反応

腺癌(50例)

扁平上皮癌(50例)

感度

特異度

陽性適中度

陰性適中度

正診率

TTF-1

115 (77%)

0

0.77

1

1

0.59

0.825

p63

27 (18%)

50 (100%)

1

0.82

0.65

1

0.865

p40

0 (0%)

50 (100%)

1

1

1

1

1

Nonaka D. A study of DNp63 expression in lung non-small cell carcinomas. Am J Surg Pathol 2012;36:895-9.

 

SCC

我々の検討では、少数ながらp40陽性となる肺腺癌を確認しているので(下図)、他の扁平上皮癌マーカー、腺癌マーカーと組み合わせて利用する方が良いと思われる。

adeno_p40

診断病理において、p40は基本的にp63と同様の利用方法が考えられるが、未だデータは乏しい。

 

 

執筆日:2012/5/22

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕

<本原稿は第2回前之園賞の助成を受けて作成されました>

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