免疫組織データベース~いむーの



Insulin

2012年12月3日

Mouse monoclonal antibody

クローン:2D11-H5

メーカー:Novocastra

希釈倍率:1:100

抗原賦活化:処理なし

推奨陽性コントロール:膵島

染色パターン:細胞質

(上記は神戸大病理部での条件(Leica BondMax)。抗体は必ずしも全てのメーカーを比較して選択しているわけではありませんので、必ずしも“推奨メーカー”という意味ではありません。)

 

インスリンは膵島のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種で、21アミノ酸残基のA鎖と30アミノ酸残基のB鎖が2つのジスルフィド結合を介してつながったものである。β細胞の粗面小胞体で、プレプロインスリンの形で生合成される。プレ部分はシグナルペプチドで、ポリペプチドが合成され小胞体内に移行した後、切断され、プロインスリンとなる。プロインスリンはB鎖-C鎖-A鎖の順番につながったポリペプチドで、ゴルジ体に運ばれた後、β顆粒内でプロテアーゼによる修飾によりC鎖が除かれインスリンを生じ、蓄積される。インスリン分泌刺激(グルコース、アミノ酸等)による細胞外に分泌される。骨格筋におけるグルコース、アミノ酸、カリウムの取り込み促進とタンパク質合成の促進、肝における糖新生の抑制、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪組織における糖の取り込みと利用促進、脂肪の合成促進・分解抑制などの作用により血糖を抑制し、グリコーゲンや脂肪などの各種貯蔵物質の新生を促進する。

HEInsulin

(膵島。左:H&E染色、右:インスリン染色)

 

用途:インスリン産生の確認。インスリノーマなど。

 

Insulinoma1Insulinoma2

(自験例(インスリノーマ)。左:H&E染色、右:インスリン染色)

 

(注)インスリン染色をすることにより、細胞内に一定量のインスリンが含まれていることを確認できる、すなわち、インスリン染色は定性検査であるが、血清インスリン濃度や臨床症状を表すものではない(定量検査ではない)。

 

 

執筆日:2012/12/3

執筆者:神戸大学医学部附属病院病理診断科 酒井康裕、柳田絵美衣、今川奈央子

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